替銭(読み)カエセン

デジタル大辞泉 「替銭」の意味・読み・例文・類語

かえ‐せん〔かへ‐〕【替銭】

中世為替の一。遠隔地へ送金するのに、替銭屋割符屋さいふやとよばれる商人に現金を払い込み、為替手形を組ませて送金するもの。後世の為替と両替両面機能をもつ。かいせん。かえぜに。かわし。→替米かえまい

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精選版 日本国語大辞典 「替銭」の意味・読み・例文・類語

かわり‐せんかはり‥【替銭】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代の主な銭貨であった寛永通宝銭以外の銭貨。「字替り銭」とも呼ばれる。寛永銭発行以前のもので、主に寛文一〇年(一六七〇)まで寛永銭と混用されていた。その大半中国をはじめ朝鮮安南等海外から移入されたものだが、なかには正式の銭貨でなく、これを模して民間で江戸中期以後作った絵銭なども含まれる。
    1. [初出の実例]「替り銭やりてのこしに五六文」(出典:雑俳・柳多留‐三一(1805))

かえ‐せんかへ‥【替銭】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 中世、為替を組んで送金すること。また、他地での支払いを約束する手形を振り出して、借金すること。かえぜに。かいせん。かわし。
    1. [初出の実例]「雑務沙汰とは利銭、出挙、替銭、替米、年記諸負物」(出典:沙汰未練書(14C初))
  3. 両替すること。

かえ‐ぜにかへ‥【替銭】

  1. 〘 名詞 〙かえせん(替銭)
    1. [初出の実例]「右、くだんのかへせに、かまくらにて給候ぬ」(出典:東寺百合文書‐な・永仁元年(1293)一二月二日・加地木頼平替銭請文案)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「替銭」の意味・わかりやすい解説

替銭
かえぜに

「かわし」ともいう。鎌倉室町時代における送金手段。鎌倉時代中期頃発生した為替の始り。現金輸送がきわめて困難な時代に,年貢などを遠隔地荘園から京都の荘園領主に送る場合や,社寺参詣旅費を調達する場合などの遠隔地に対する支払手段として,さらに室町時代に入ると商品取引の決済手段として利用された。その手形を割符 (さいふ) と呼び商業の盛んなところでは替銭屋,割符屋と称する業者に現金を払込み,割符を発行してもらい相手に送金した。公的な保証はなく,商人相互の信用関係によって成立していた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「替銭」の意味・わかりやすい解説

替銭
かえぜに

中世における為替(かわせ)。銭を対象とするものが替銭で、「かえせん」「かわし」「かわしぜに」ともいう。米をもってするものを替米(かえまい)という。

[編集部]

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旺文社日本史事典 三訂版 「替銭」の解説

替銭
かえせん

鎌倉・室町時代の用語で,近世の両替と為替 (かわせ) ,特に後者の意に用いる
遠隔地荘園から年貢輸送の際,米を売り代金を為替手形(割符 (さいふ) )に組んで送った。米で決済するのを替米 (かえまい) という。商業の発達につれ,商取引に用いられ兼業・専業の業者(替銭屋・割符屋)も現れた。また本寺・末寺を利用して替銭業を営む寺院もあった。

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世界大百科事典(旧版)内の替銭の言及

【為替】より

外国為替【永易 秀夫】
【歴史】

[日本]
 中世には為替の語そのものはみられないが,為替類似の信用取引行為は鎌倉時代中期からみられるようになる。銭を対象とするものを替銭(かえぜに∥かえせん∥かわしぜに∥かわし)と呼び,米を対象とするものを替米(かえまい∥かわしまい)といった。また利用された手形・証書を割符(さいふ∥わりふ∥かわし),切符(きつぷ),切紙(きりがみ)などと呼んだ。…

【為替】より

外国為替【永易 秀夫】
【歴史】

[日本]
 中世には為替の語そのものはみられないが,為替類似の信用取引行為は鎌倉時代中期からみられるようになる。銭を対象とするものを替銭(かえぜに∥かえせん∥かわしぜに∥かわし)と呼び,米を対象とするものを替米(かえまい∥かわしまい)といった。また利用された手形・証書を割符(さいふ∥わりふ∥かわし),切符(きつぷ),切紙(きりがみ)などと呼んだ。…

【為替】より

外国為替【永易 秀夫】
【歴史】

[日本]
 中世には為替の語そのものはみられないが,為替類似の信用取引行為は鎌倉時代中期からみられるようになる。銭を対象とするものを替銭(かえぜに∥かえせん∥かわしぜに∥かわし)と呼び,米を対象とするものを替米(かえまい∥かわしまい)といった。また利用された手形・証書を割符(さいふ∥わりふ∥かわし),切符(きつぷ),切紙(きりがみ)などと呼んだ。…

※「替銭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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