有象無象(読み)ウゾウムゾウ

デジタル大辞泉 「有象無象」の意味・読み・例文・類語

うぞう‐むぞう〔ウザウムザウ〕【有象無象】

取るに足りない種々雑多な人々。多く集まったつまらない連中。「有象無象やから
有相無相」に同じ。
[類語]小物雑魚雑輩俗人俗物俗輩凡俗馬の骨みいはあ

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精選版 日本国語大辞典 「有象無象」の意味・読み・例文・類語

うぞう‐むぞうウザウムザウ【有象無象】

  1. 〘 名詞 〙
  2. うそうむそう(有相無相)
    1. [初出の実例]「末世の衆生のまよひにはうざうむざう是おほし」(出典:幸若・笛之巻(寛永版)(室町末‐近世初))
  3. 種々雑多なくだらない人間や物。ろくでもない連中。人を卑しめていう語。うぞうもぞう。うぞもぞ。うそう。
    1. [初出の実例]「やせ世帯うぞうむぞうにうんざりし」(出典:雑俳・川柳評万句合‐宝暦一三(1763)満二)

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四字熟語を知る辞典 「有象無象」の解説

有象無象

種々雑多なくだらない人間や物。ろくでもない連中。人を卑しめていう語。

[使用例] 大阪の北浜から陸続兜町へ有象無象の連中が乗り込んで来たのである[横光利一*家族会議|1935]

[使用例] いま入党しておかぬと後で入ってはいばれぬで入ったけど、あんな有象無象じゃ戦争はできん[杉浦明平*解体日暮れ|1966]

[使用例] ストン人民共和国の設立書がいまだに船便で航海しているうちに、各国の代表、ジャーナリストスパイ、有象無象がゴマンと首都にやってきましたが、いずれもなにがなにやらわからんという感想を抱いたにすぎませんでした[北杜夫*さびしい王様|1969]

[解説] 「有象無象」が出てくる有名な落語があります。「みたて」という話です。美人の長唄師匠をめぐって、町内の若い連中が騒ぎを起こします。
 師匠とまんまと仲良くなった半公という男。手伝いの与太郎をお供にして、三人で船遊びに出かけることになります。師匠は、町内の人々には秘密にしてくれ、と与太郎に言います。
 「有象無象に言うと、ぞろぞろくっついて来てうるさいから」
 これを聞いた町内の連中は怒ります。「有象無象」は、「おおぜい集まったつまらない連中」という意味だからです。今なら「モブキャラ」(その他大勢のキャラクター)というのに近いでしょう。
 「有象無象」は仏教から出たことばで、もともとは「そうそう」と言っていました。「有形無形のすべてのもの」という意味です。そこから、「いろいろと雑多なもの」へと意味が広がりました。
 落語では「うぞうもぞう」とも発音します。もぞもぞ動いている語感もあり、ばかにした感じがより強くなります。

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