東吾妻(町)(読み)ひがしあがつま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「東吾妻(町)」の意味・わかりやすい解説

東吾妻(町)
ひがしあがつま

群馬県中西部、吾妻郡にある町。2006年(平成18)、吾妻郡吾妻町、東村(あづまむら)が合併して成立。岩櫃(いわびつ)山や浅間隠(あさまかくし)山、榛名(はるな)山など1000~1500メートル級の山々が連なる。北部を吾妻川が東流し、浅間隠山を水源に町の南西部を流れ下った温(ぬる)川が、吾妻川に注ぐ。吾妻川沿いにJR吾妻線、国道145号が走り、温川の上流部には国道406号が通じる。日本一短い鉄道トンネル「樽沢トンネル(たるさわとんねる)」(吾妻線岩島(いわしま)駅―川原湯温泉(かわらゆおんせん)駅間。2014年、岩島駅―長野原草津口(ながのはらくさつぐち)駅間のルート変更により、鉄道トンネルとしての役割を終了)のある町として知られた。おもな産業は、コンニャクイモシイタケミョウガスイセンで知られる花卉(かき)栽培などの農業、および観光関連業。郷原遺跡(ごうばらいせき)から発掘された、ハート形の土偶(どぐう)は国指定重要文化財。国指定名勝の「吾妻峡」は関東の耶馬渓(やばけい)とよばれる景勝地。国の天然記念物に指定され、樹齢1000年以上を誇った「原町の大ケヤキ」は、三叉路にあるため排ガス震動にさらされて樹勢が衰え、近年、枝を伐採して昔の面影は薄れてしまった。温川沿いの大戸(おおど)は、江戸時代には大戸道(信州道)の宿場として賑わい、大戸関所が設けられていた。1850年(嘉永3)関所破りの罪により、国定(くにさだ)村(伊勢崎市)無宿忠次郎(国定忠治)は大戸関所近くで磔刑に処せられた。のち処刑場所には忠治地蔵を建立。温川の上流に浅間隠温泉郷、吾妻川の上流には吾妻渓谷温泉郷などがある。面積253.91平方キロメートル、人口1万2728(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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