板付(読み)いたつき

精選版 日本国語大辞典の解説

いた‐つき【板付】

〘名〙
① 板が張ってある場所。板の間。板敷。
※師説自見集(1408)上「とへかしな身もいたつきのさし莚ひとへに恋る心ながさを、いたつかはしきと云詞を板付となずらへたる歟」
② (「板」は芝居の舞台の意) 芝居で幕があいた時、または回り舞台が回ってきた時、俳優がすでに舞台の位置についていること。また、その俳優。転じて、旅役者に対して、京都や大阪の本舞台を踏む役者や技芸容貌のすぐれている役者をもいう。
※俳諧・西鶴大矢数(1681)第二五「板つきへ月まで誘ふて仕与まるる〈元尚〉 野山の色を二番続に〈幸作〉」
※浮世草子・椀久二世(1691)上「次第に板付(イタツキ)にのぼりて大坂にかよひなれて」
③ 近世、罪人の首を載せてさらしものにした台の板。獄門台。
※歌舞伎・蔦紅葉宇都谷峠(文彌殺し)(1856)大切「奉公人の四五人も使ふ旦那と、板附(イタツキ)に列(なら)んで掛かりゃあ本望だ」
④ (文政・天保(一八一八‐四四)頃の流行語) 初め。始まり。
※当世花詞粋仙人(1832)「はじまり、板(イタ)つき」
⑤ 板についていること。適任。ぴったり。
※浄瑠璃・玉藻前曦袂(1751)三「郡代様のさばきが板付き」

いたづけ【板付】

福岡市博多区にある地名。福岡空港(板付飛行場)がある。

いた‐つけ【板付】

〘名〙
① 「いたつけくぎ(板付釘)」の。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※雑俳・歌羅衣(1834‐44)三「板付けの千足下駄も雨上り」
③ 俳優の姿、立ち木、遠山などの輪郭をはっきりさせるために、舞台の屋台内の欄間裏や戸外の立ち木、遠見の山の切り出しの後ろなどにとりつける照明器具。板、またはブリキで作った細長い箱の中に数個の電球が装置してある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

板付
いたづけ

福岡市博多区(はかたく)の一地区。弥生(やよい)式文化最古の板付遺跡(国指定史跡)がある。第二次世界大戦前は寂しい農村であったが、大戦中建設された蓆田飛行場(むしろだひこうじょう)を戦後アメリカ軍が接収、板付飛行場として整備拡張した。1951年(昭和26)から民間航空に開放され、福岡空港として九州の表玄関となり、1972年に全面返還された。空港まで天神駅から市営地下鉄で約10分、また博多バスターミナルからバスで30分。福岡都市高速道路の板付出入口がある。周辺地域の都市化が近年著しい。なお、板付遺跡には復元水田やガイダンス施設「板付遺跡弥生館」がある。

[石黒正紀]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

板付
いたづけ

福岡県北西部,福岡市博多区の地区。縄文,弥生時代の集落遺跡のなかでも最も重要なものの1つといわれる板付遺跡 (史跡) があり,考古学上重要。第2次世界大戦中に建設された旧陸軍の飛行場は,戦後アメリカ軍の板付基地を経て,現在では福岡空港面積は 350万m2。長さ 2800mの滑走路をもち,国内空路における北九州の玄関口だけでなく,タイペイ (台北) ,ホンコン,ソウルプサン (釜山) などへも国際線が発着している。市街地に隣接し,爆音の被害や,事故の際の民間地に対する被害が大きい難点をもつ。

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百科事典マイペディアの解説

板付【いたづけ】

福岡県福岡市博多区の空港所在地。第2次大戦後未完成の蓆田(むしろだ)飛行場を米軍が接収し拡張整備,朝鮮戦争時の重要基地であった。1951年一部が民間に開放され,福岡空港として九州の表玄関となったが,基地との併用による支障が多発,1968年には米軍用機墜落事故が発生。1972年に返還された。弥生時代の集落遺跡,板付遺跡の発掘地としても知られる。
→関連項目福岡[市]

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世界大百科事典内の板付の言及

【歌舞伎】より

…俳優が大げさな演技などで観客の喝采をねらうこともいう。 板付(いたつき)幕明きや回り舞台で場面が転換したとき,すでに舞台上にいる役をいう。また〈板につく〉とは,俳優が経験を重ねることによって,役や芸が舞台になじむことをいう。…

※「板付」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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