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林木育種 りんぼくいくしゅ forest tree improvement

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世界大百科事典 第2版の解説

りんぼくいくしゅ【林木育種 forest tree improvement】

林木を対象とする育種。狭い意味では,これまでの材料よりも遺伝的に優れたものをつくりだすことであるが,今日では,林木の集団つまり森林を遺伝的に管理することを意味している。天然更新によって林を仕立てる場合には,もともとそこにあるものを親木(おやぎ)として使わなければならないし,植栽して林を仕立てる場合にも,植えこんだ材料の遺伝的組成は間伐などの手入れによって影響をうけるから,優れた材料をつくりだすことは林木育種の一部にすぎない。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

林木育種
りんぼくいくしゅ

林木を対象とする育種(品種改良)。林木とは森林を構成する樹木をいうが、林業用の林木など人間に役だつものを対象として、さらに利用価値の高いものをつくることで、これまでの品種の改良、新しい品種の育成、品種の増殖などを含む。[蜂屋欣二]

特徴

林木は一般の農作物に比べ形が巨大で、寿命が長く、成長して材として収穫されるまでの生産期間が数十年以上と長い。したがって育成品種の良否を確認する次代検定に時間がかかり、育種事業は長期かつ大規模とならざるをえない。このため林木育種は民間でなく国の事業として組織的に実行されており、改良の効果を次代検定で確認してから実用化するのでは時間がかかりすぎるので、ある確率で効果が推定できるものは実用造林に用い、成長の過程で順次検定してさらに改良するという方法がとられる。
 また一般作物と違い複雑な山地の環境のなかで長期間生育する林木では、環境の変動や気象害、病虫害など予測外の災害への抵抗性が必要で、一般作物のように単一で特性のそろった品種よりも、遺伝的に複雑な混系集団の品種が安全とされる。[蜂屋欣二]

方法

有性繁殖の場合は集団選抜法、またスギなど一部で利用される無性繁殖の場合は栄養系分離法がおもな方法である。集団選抜法では、同種の多くの林から成長や材質、抵抗性などが優れたプラス木(精英樹や抵抗性個体)を選び、これらのクローン(個体の栄養器官の一部を接木(つぎき)、挿木など無性繁殖で分離増殖した個体群)を養成し、それで採種園をつくり、任意交配した種子を実用造林に用いる。クローンの遺伝的能力を検定して、採種園構成を順次改良する。栄養系分離法では、プラス木からのクローンで採穂園をつくり、挿穂(さしほ)を実用に供する。単一クローンだけが造林されると予想外の災害で大被害を受けるおそれもあるので、クローンを混合して植栽することが必要である。このほか交雑育種、導入育種、倍数性育種、突然育種なども行われている。[蜂屋欣二]

林木育種事業

わが国では、明治以来各地で造林が推進されるとともに、造林種苗の産地・系統の重要性が認識され、最大の造林樹種のスギでは実生(みしょう)や挿木による在来品種を確立していた地域もあった。組織的な育種事業としては1955年(昭和30)ごろから発足し、全国を5育種基本区、19育種区に分け、国立の林木育種センターを中心に国、都道府県、企業、大学などが協力分担して推進されている。成長量の増大を目標とした針葉樹の精英樹選抜事業に重点が置かれたが、近年は雪害や寒害、病虫害の抵抗性育種、材質育種など、さらには広葉樹育種など育種目標が多様化し、またバイオテクノロジーの導入など育種方法も多様化してきている。また最近問題となっているスギ花粉症の対策として、花粉生産の少ないスギ品種の開発も進められている。このような近年の育種成果は順次実際の林業経営に浸透しつつある。[蜂屋欣二]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
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