日本大百科全書(ニッポニカ) 「格子(建築)」の意味・わかりやすい解説
格子(建築)
こうし
木、竹、金属などを直角に碁盤目(ごばんめ)に組んだもの。組格子ともいう。古くは子(かくし)とよんだ。建具では蔀(しとみ)や引違い戸、あるいは嵌殺(はめころ)しとして用いられた。桟の間を透かすものや、裏に薄板を張るものもある。本来、格子は碁盤目に組み、これを狐(きつね)格子というが、一般には竪桟(たてざん)を密にし横桟を粗くしたものも格子とよぶ。竪桟あるいは横桟だけのものを連子(れんじ)といい、前者を竪連子、後者を横連子という。連子も中桟を入れることもある。連子を板に彫り出して形式的にしたものを盲連子(めくられんじ)という。
格子は近世になって採光通風と盗難防止を兼ねて、民家の正面に盛んに取り付けられた。格子は形式によっていろいろの名称がある。京都の町屋にみられるような竪子(たてこ)の細く横桟の少ない京格子、太い角材を並べた問屋(といや)格子、丸太を半割りにして丸みを正面にみせる丸太格子、細い格子を密に並べた江市屋(えいちや)格子、千本格子、1本あるいは2本置きに長短の竪桟を交互に入れた親子格子、横桟の間に取り外せる小格子を入れた大阪格子など、その種類は多い。また、格子戸も、碁盤目の木連(きづれ)格子戸、横桟の少ない連子格子戸、竪桟を2本ずつ並べた吹寄(ふきよせ)格子戸、等間隔に細く並べた小間返し連子格子戸など各種あって、部屋の使い方によって使い分けられている。
[工藤圭章]