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格物致知 かくぶつちちge-wu zhi-zhi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

格物致知
かくぶつちち
ge-wu zhi-zhi

大学』の八条目中の二。『大学』は『礼記』の一編であるが,そこに説かれている三綱領・八条目は,儒家学問プログラムとして,特に宋代以後道学の儒者に重んじられた。物と致知はその学問のプログラムの最初に位置する。道学の集大成者である朱子は,格物を物の理をきわめ尽すこと,致知をおのれの知をおしきわめることと解して,さらに両者を表裏一体のものとした。この解釈は彼の理の主張の端的な表明といえるもので,それゆえ王陽明などのちの朱子批判者は,この格物,致知についても朱子の説を退け,独自の解釈を施すことになる。

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デジタル大辞泉の解説

かくぶつ‐ちち【格物致知】

物の道理を窮め、知的判断力を高める意で、理想的な政治を行うための基本的条件、モットー
[補説]「礼記大学の「致知在格物」の意味を、朱子は「知を致すは物に格(至)るに在り」と事物の理に至ることと解し、王陽明は「知を致すは物を格(正)すに在り」と心の不正を去ることと解した。

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世界大百科事典 第2版の解説

かくぶつちち【格物致知 gé wù zhì zhī】

中国思想史の用語。事物の道理を追究すること。窮理(きゆうり)ともいう。窮理はもと《易》説卦(せつか)伝に〈理を窮(きわ)め性を尽くし以て命に至る〉とあるのに由来する。格物致知は《大学》の語。しかし,これらの語が注目され,思想史の表舞台に登場するのは宋代に入ってからである。程頤(ていい)(伊川)は窮理と格物を結びつけ,一事一物の理を窮めてゆけば,やがて〈脱然貫通〉するに至ると述べた。彼を継承した南宋の朱熹(しゆき)は,《大学》にはほんらい格物致知の解説があったはずだと考え,自己の意をもって《格物補伝》を補った。

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大辞林 第三版の解説

かくぶつちち【格物致知】

〔大学〕
朱子学では格物において自己の知識をその極にまで推し究めること。また、陽明学では格物において自己の良知を練磨発揚すること。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

格物致知
かくぶつちち

中国哲学の用語。『大学』に、学問(儒学)の規模を、格物、致知、誠意、正心、修身、斉家(せいか)、治国、平天下の8段階(朱熹(しゅき)のいう八条目)に整理して示した。その最初の2項目である。この語の解釈には諸説があり、とくに宋(そう)代以後『大学』が四書の一つとして重視されるにつれて、儒学者の間で多くの異説を生じた。それらのうちもっとも重要なのは宋の朱熹(朱子)と明(みん)の王守仁(しゅじん)(陽明)の説である。朱熹は程頤(ていい)の説を継承し、格は至る、物は事物、致は推し極める、知は知識の意であるとし、格物とは、事物に至る、つまり事物にはそれぞれその事物の理があるので、一事一物の理を十分に窮め知ること、致知とは、知識を推し極める、あらゆる事物の理を知り尽くすことであるとした。したがって格物致知は彼の説いた「窮理」と同じことになる。
 王守仁はこの解釈に反対し、格は正す、物は意の所在(意志の対象つまり行為)、知は良知(是非(ぜひ)善悪を判別できる先天的な知力)をいうとし、格物とは、意の所在を正しくする、つまり正しい行為をすること、致知は、彼の説く「致良知(ちりょうち)」と同じで、良知の判断を行為のなかに実現する(良知が是と判断したことはそのとおりに行い、非としたことは行わない)ことであるとした。この解釈によれば、致知の結果がすなわち格物ということになる。この格物致知の解釈の相違は、知的理解を重視する朱子学と、実践を重んずる陽明学の性格の相違を端的に示すものである。[湯川敬弘]

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世界大百科事典内の格物致知の言及

【朱子学】より

…(6)認識論 事物に宿る理を追求すること。〈窮理〉または〈格物致知〉という。しかし,ヨーロッパ的な認識論とは異なり,一事一物の窮理を積み重ねてゆくと,突如〈豁然貫通(かつぜんかんつう)〉(一種のさとり)が訪れるという。…

※「格物致知」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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