不輸不入(読み)フユフニュウ

  • ふゆふにゅう ‥フニフ
  • ふゆふにゅう〔フニフ〕

百科事典マイペディアの解説

荘園に対する国家権力介入を排除する特権。不輸は税免除,不入国司らの立入禁止。律令国家は743年墾田永年私財(こんでんえいねんしざい)法により園の設立を許した後も,荘園を公領と同様に扱って国司が立ち入り租税をかけていたが,荘園をもつ有力者はさらに私有権を確立しようと努め,9世紀半ばごろから各種租税の免除を不輸の権として次々に獲得していった。しかし国司らは租税増徴のため,しばしば荘園に立入調査をしたので,やがて不入の権も申請,許可されるに至り荘園の私有権は確立した。
→関連項目茜部荘鵤荘相賀荘大井荘黒田荘寺社領島津荘【ぼう】示

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世界大百科事典 第2版の解説

荘園等に対する国家権力の介入を排除する特権。不輸は不輸租(ふゆそ)に由来し,租以下の税を国家に納する必要のないことであり,不入は検田使以下の国衙使の立入りを拒否することのできる特権である。 律令では,神田,寺田が本主つまり寺社に租を輸することで,事実上不輸租の特権を認められていたが,奈良時代には一般の墾田や貴族所有地には不輸租の特権はなく,初期荘園も多くは輸租田であった。立券荘号(りつけんしようごう)の手続を経た官省符荘(かんしようふしよう)でも,不輸租の特権は立券時の見開田(げんかいでん)(当該期すでに開発されている田)に限られた。

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大辞林 第三版の解説

荘園制において、租税を納入することを免ぜられ(不輸)、また国衙こくがの役人を荘園内に入らせない(不入)特権。権門勢家および社寺の荘園がこの特権を与えられていた。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 荘園が田租を免除される特権と、荘園に国家権力を介入させない特権。不輸の権利を得た荘園領主が、さらに一円領域支配をすすめるにあたって、国司が派遣する検田使等の入勘を拒否する権利を得、一二世紀以降の中世荘園の確立をみるにいたる。

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世界大百科事典内の不輸不入の言及

【インムニテート】より

…インムニタスは,古代末期のローマ帝国では,諸種の公的負担からの免除を意味する法技術的用語であったが,フランク王国では主として教会大所領の特別な国制上の地位を表すようになる。7世紀前半いらい,国王は諸修道院などにインムニテート特権状を与え,その所領を公的裁判権力の管轄外において公吏の立入り,強制権の行使,公課の徴収を禁ずる(不輸不入)とともに,そうした諸権限を教会が自ら,またはフォークト(教会守護)を通じて行使することを認めた。教会領主はその所領内において,事実上,グラーフ(伯)に近い地位を認められたことになるが,逆にいえば国王はこの措置により国家の一般的統治組織に自ら穴をあけているわけである。…

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