多少とも一時的に、特定の環境刺激だけを選択し、その認知や反応を促進する準備状態をさす心理学のことば。最初は、実験者の教示、指導者の指示によって生み出され、また統制されるものと考えられた。問題解決に際し、ある方向に探索すべきだと、なかば無意識的に構えることを決定傾向というが、特定の構えを強くとりすぎると観点変更の自由が失われ、かえって問題解決に阻害的になることがある。これを、構えの硬さという。100メートル競走に際し「用意」と合図しているとき、ピストル音がなると速やかに走り出せるが、この間隔が短すぎても準備状態はできないし、長すぎるとだれてしまう。2秒間くらいが最適といわれ、一般的には、自動車道路の交差点・分岐点とその予告標識提示場所との間隔を設定する基礎となる。
保守または急進的な価値体系をもつ人は、一般に自説に有利な文言・事実を認知しやすく、不利なものは見落とす傾向があるが、これも半無意識的な構えの影響として、社会心理学で研究されている。
[吉田正昭]
…しかしつねに知識が問題解決を促進させるというわけではなく,不十分な知識はかえって解決を妨げることもある。(3)構え われわれにはもののとらえ方や考え方が,固定的で習慣的になりやすい〈構え〉がある。このような構えが問題解決を促進させる場合もあるが,むしろそれを妨害する場合も多い。…
…江戸時代の一種の追放刑。〈かまえ〉とも読む。特定地域から排除する場合と,特定団体・社会関係から排除する場合とがあった。日本国外追放を日本国構と称したことなどは前者の例であるが,後期幕府法においては,刑名はおもに追放,払(はらい)の語を用い,立入り,居住制限区域をとくに御構場所(おかまいばしよ)と呼んでいた。一方団体・社会関係からの排除として《公事方御定書》には,僧尼の閏刑で追院,退院より重い一宗構(所属宗旨からの追放),および一派構(宗旨中の所属宗派からの追放)の刑名がある。…
※「構え」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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