日本歴史地名大系 「比良山地」の解説
比良山地
ひらさんち
- 滋賀県:総論
- 比良山地
湖西の中央部から北部にかけての約三〇キロにわたって南北に連なる山地。東斜面は琵琶湖、西斜面は
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湖西の中央部から北部にかけての約三〇キロにわたって南北に連なる山地。東斜面は琵琶湖、西斜面は
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滋賀県西部の山地。南北に伸びて近江盆地の西縁を画する。東側は急崖をなして琵琶湖に接し,崖のふもとに多くの扇状地が発達する。西側は安曇(あど)川が流れる花折(はなおれ)断層谷によって西の丹波高地と分けられる。南北の長さ約15km,幅3~10km,最高峰は中央部の武奈ヶ嶽(1214m)。近畿地方内帯の中部にある鈴鹿山脈や生駒山地と同じく鮮新世~更新世の六甲変動によって隆起した地塁山地で,東側は花コウ岩,西側は古生層よりなる。武奈ヶ嶽や打見山(1100m),蓬萊山(1174m)など残丘状の峰の周辺には隆起した準平原遺物と考えられる小起伏面がある。武奈ヶ嶽の近くには八雲ヶ原湿原や河川争奪の跡を示す地形があり,湿原にはモリアオガエルなど多種の動物,湿原植物がみられる。冬の北西季節風が吹きおろす比良おろしは〈比良八荒〉とよばれる。近江八景の一つ〈比良の暮雪〉や琵琶湖岸の保養地近江舞子などの景勝に恵まれ,琵琶湖国定公園に含まれている。なお,花折断層谷には花折峠(591m)や豪族朽木(くつき)氏の領した朽木集落(高島市)があり,古来京都と近江を結ぶ要衝であった。現在,谷に沿って国道367号線が通じている。
執筆者:水山 高幸+清水 弘
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滋賀県の琵琶(びわ)湖西岸から京都府境に連なる山地。東西3~10キロメートル、南北約15キロメートルの地塁山地で、北部が広く南部が狭い。東は急崖(きゅうがい)で湖岸に臨み、西は安曇川(あどがわ)の谷によって丹波(たんば)高地と分かれ、北は野坂山地、南は比叡(ひえい)山地に続く。山頂は1000メートル前後の平坦(へいたん)面からなり、古生層の粘板岩、砂岩、チャートからなる西半部には、武奈(ぶな)ヶ岳(1214メートル)、釣瓶(つるべ)ヶ岳(1093メートル)、白滝(しらたき)山(1020メートル)など、またおもに花崗(かこう)岩からなる東半部には、蓬莱(ほうらい)山(1174メートル)、打見(うちみ)山(1103メートル)、釈迦(しゃか)ヶ岳(1060メートル)などの高峰がある。高燥湿原の八雲ヶ原や八淵(やち)ノ滝、楊梅(ようばい)ノ滝などの観光資源に恵まれ、「比良の暮雪」として近江八景(おうみはっけい)の一つにもあげられ、中心部は琵琶湖国定公園に含まれる。登山、ハイキング、スキーに訪れる人が多く、ゴンドラやリフトなどの施設も整っている。一方、春先に季節風の比良おろしが吹いて気温の下がることが多く、「比良の八講(はっこう)の荒れじまい」という諺(ことわざ)がある。
[高橋誠一]
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