デジタル大辞泉
「氈」の意味・読み・例文・類語
かも【×氈】
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おり‐かも【氈】
- 〘 名詞 〙 毛織りの敷物。毛氈(もうせん)。かも。
- [初出の実例]「親王より以下、庶民に至るまでに、諸の服(き)用ゐる所の金・銀〈略〉、及び氈(オリカモ)の褥(とこしき)・冠・帯、并せて種種雑色の類(たぐゐ)、服(き)用(もち)ゐること各差有れ」(出典:日本書紀(720)天武一〇年四月(北野本訓))
せん【氈・氊】
- 〘 名詞 〙 毛織の敷物。毛氈(もうせん)。
- [初出の実例]「合氈参拾肆床」(出典:法隆寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747)二月一一日)
- 「大紋の畳を重ね布(し)き、其上に氊(セン)を展(のべ)られたり」(出典:太平記(14C後)二四)
- [その他の文献]〔周礼‐天官・掌皮〕
かも【氈】
- 〘 名詞 〙 獣毛で織った敷物。また、毛製品一般をいう。おりかも。
- [初出の実例]「氈褥〈謂。撚レ毛為二褥席一者也〉」(出典:令義解(718)職員)
- [その他の文献]〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「氈」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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氈(かも)
かも
「せん」ともいい、毛織りの敷物、すなわち毛氈のことである。毛氈は草原の遊牧民が天幕で使用する敷物として生まれ、以後アジアの乾燥地帯から世界各地に広まった。わが国では747年(天平19)に録された「法隆寺伽藍縁起并流記資財帳(がらんえんぎならびにるきしざいちょう)」にあわせて34床、また756年(天平勝宝8)7月26日の「東大寺献物帳」(屏風花氈(びょうぶかせん)帳)に花氈60床が記されるなど、奈良時代にはかなり多用されたことが知られるが、いずれも宮廷や寺院の調度として座具の一種に用いられた。「屏風花氈帳」記載の品は古くに出蔵して伝わらないが、正倉院宝庫にはなお、紅・紫・褐色・白など単色で染めた毛氈(色氈(しきせん))14床と、花柄や人物などの文様のある毛氈(花氈)31床をとどめている。製法は、羊毛を打って柔らかくし、莚(むしろ)の上に平らに敷き、それを巻き締め、あるいは踏み締めて糊水(のりみず)を注ぎ板状にしたものであり、いまでいうところのフェルトにあたる。近世でも江戸城再建の際の、各大名による献上品中に毛氈が多数含まれており、その珍重のさまがしのばれる。
[河田 貞]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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