河口堰(読み)かこうぜき(英語表記)salinity barriers

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

河口堰
かこうぜき
salinity barriers

河川河口近くに河川を横断して造られる海水浸入を制限して堰上流の淡水化をはかり,河川の流末に集る水を有効に利用するために設けられる。一般にゲート (水門扉) が主体をなし,洪水時にはゲートを上げて,洪水を支障なく流下させる構造になっている。利根川河口堰,旧吉野川河口堰などがその代表的なものである。なお人工的に設けられる施設のため,一部の地域では河口堰による自然環境の破壊が訴えられており,住民の反対運動も発生している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

かこう‐ぜき【河口×堰】

河口近くに設けられる、水をせき止める施設。海水の流入防止、淡水の貯留・利用などを目的とする。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

かこうぜき【河口堰】

河口に設けた堰。海水の浸入を防ぎ、淡水を蓄えて水資源の利用などを図る。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

河口堰
かこうぜき
estuary barrage

塩害の防止や用水の供給のために感潮部(感潮域)に設置される堰。河口堰にはゲートが備えられる。河川流量や潮汐(ちょうせき)の干満に応じてゲートを操作して堰上流の水位と堰からの放流量を調節し、塩水の遡上(そじょう)を阻止して塩害を防止し、河川水を貯留して水道用水、工業用水、灌漑(かんがい)用水などとして供給する。洪水時にはゲートを開けて洪水を流下させる。河口堰には必要に応じて魚道や閘門(こうもん)が設置される。利根(とね)川河口堰(茨城県・千葉県、1971年完成)、遠賀(おんが)川河口堰(福岡県、1980年完成)、芦田(あしだ)川河口堰(広島県、1981年完成)、筑後(ちくご)川河口堰(福岡県、1984年完成)、長良(ながら)川河口堰(三重県、1994年完成)などがある。利根川河口堰は河口から18.5キロメートルの地点に建設され、塩水の遡上を阻止して利根川下流部の塩害を防止するとともに、千葉県に水道用水、工業用水、灌漑用水、東京都と埼玉県に水道用水を供給する。
 河口堰が建設されると、魚の遡上・降下や船の航行の妨げになる、海水の遡上が阻止されることにより堰上流の魚介類の生息環境に影響を与える、堰上流の貯水域の水質の悪化が懸念される、堰による河道内の水位上昇により河川周辺の排水の困難や地下水位の上昇がもたらされるなどの問題が生ずる。このような問題に対処するために、魚道や閘門を設置したり、上げ潮時に塩害が生じない範囲で堰上流に塩水が遡上するようにゲートを操作したり、貯留水の滞留時間を短くするようにゲートを操作したり、河川から堤内地への浸透を抑制するために河道に沿って止水壁を設置するなどの対策がとられる。川 登]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

アウェイ育児

自身や配偶者の就職や転勤などに伴い、慣れない土地に移って子育てをすること。身近に相談できる親類縁者や友人が少なく、地域とのつながりも薄いケースが多い。また、夫の育児参加が少ないなどで孤立感を深めた母親...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

河口堰の関連情報