改訂新版 世界大百科事典 「油谷湾」の意味・わかりやすい解説
油谷湾 (ゆやわん)
山口県の北西端にある湾。北側を向津具(むかつく)半島に囲まれ,西方に開く。南西岸は下関市に,湾奥から北岸は長門市に属する。角島北東部と半島先端の油谷島を湾口とし,南北約4km,東西約12kmで,水深20~40m。向津具半島が日本海の荒波をさえぎる天然の良湾で,沿岸には,海女の潜水漁業で有名な大浦,小型底引網の盛んな久津(くづ)や掛淵,巻網と敷網の久原(くばら),釣漁業中心の粟野,釣りとはえなわの阿川など特色ある漁村が多い。近年はカキ,アワビ,ワカメ,ハマチ,クルマエビの養殖が盛ん。南岸を山陰本線と国道191号線が走り,阿川や伊上(いがみ)の砂浜海岸は海水浴場となっている。向津具半島西端の俵島(名・天)は玄武岩の柱状節理の発達した海食景観で知られ,湾内には手長島,女郎島などの小島が浮かぶ。風光にすぐれた海岸線は西長門海岸県立自然公園に指定されている。
執筆者:三浦 肇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報