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海難審判所 かいなんしんぱんじょ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

海難審判所
かいなんしんぱんじょ

海難の調査および審判を行なう国の行政機関。2008年海難審判庁を再編し,国土交通省特別の機関として設置された。海難審判法(昭和22年法律135号)に基づき,職務上の故意または過失によって海難を発生させた海技士,小型船舶操縦士または水先人に対する懲戒を行なうための海難の調査および審判を行なうことを任務とする。海難審判庁が行なっていた事故原因の究明については運輸安全委員会に移管された。地方海難審判庁と高等海難審判庁による二審制を一審制に改め,海難審判所(東京都)が重大な海難を,地方海難審判所が各管轄区域で発生した重大事件以外の海難を取り扱う。地方海難審判所は北海道函館市,宮城県仙台市,神奈川県横浜市,兵庫県神戸市,広島県広島市,福岡県北九州市(門司),長崎県長崎市の 7ヵ所に置かれ,門司地方海難審判所の支所が沖縄県那覇市に設けられている。海難審判所には審判官および,審判の請求や海難の調査などを司る理事官が置かれ,いずれも必要な法律および海事に関する知識経験を有する者として政令で定める者のなかから国土交通大臣が任命。各海難審判所の所長は審判官をもってあてられる。海難審判所では 3人の審判官で構成する合議体で,地方海難審判所では 1人の審判官により審判が行なわれる。海難が海技士,小型船舶操縦士または水先人の職務上の故意または過失によって発生したものであるときは,裁決をもってこれを懲戒しなければならないとされている。裁決に不服がある場合,東京高等裁判所に裁決取消を求める訴えを提起することができる。

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デジタル大辞泉の解説

かいなんしんぱん‐しょ【海難審判所】

国土交通省の特別機関。平成20年(2008)10月設置。海難(船舶事故)が発生した際に、海難審判法に基づいて海技従事者等の海難当事者の懲戒などを行う。東京の海難審判所のほか、函館・仙台・門司・長崎など全国8か所に地方海難審判所が置かれる。JMAT(ジェーマット)(Japan Marine Accident Tribunal)。
[補説]海難審判所は、それまで海難審判庁が海難発生に際して行ってきた「原因究明」と「行政処分(懲戒など)」のうちの後者を引き継いだもの。「原因究明」については国土交通省の運輸安全委員会が引き継いでいる。

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大辞林 第三版の解説

かいなんしんぱんじょ【海難審判所】

海難審判を行う国の機関(国土交通省による特別の機関)。重大な海難を取り扱う海難審判所(中央)と地方海難審判所からなる。一審制。海難審判庁より海難審判業務を引き継いで 2008 年(平成 20)に設置。 → 運輸安全委員会

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

海難審判所
かいなんしんぱんしょ

海難(船舶事故)の発生の防止に寄与することを目的として、海難の調査および審判を行うことを任務とする国土交通省に置かれた特別の機関(海難審判法7条)。2008年(平成20)の国土交通省設置法等の改正によって設置された機関で、旧・海難審判庁の懲戒機能を継承した。なお、旧・海難審判庁の原因究明機能は運輸安全委員会に統合されることとなった。海難審判所は、海難が海技士、小型船舶操縦士または水先人の職務上の故意または過失によって発生したものであるときは、裁決でもってこれを懲戒しなければならない。懲戒の種類は、免許の取消し、1か月以上3年以下の期間の業務の停止、および戒告の3種類である。
 その組織には、政令で定められた定数の審判官および理事官が置かれ、長は、独立してその職権を行う審判官をもってあてる海難審判所長である。旅客の死亡を伴うような重大な海難は海難審判所が、それ以外の海難については、函館(はこだて)、仙台、横浜、神戸、広島、門司(もじ)(那覇支所を含む)および長崎の各地方海難審判所が、それぞれの管轄地において発生した海難の審判を行う。
 海難審判所は、理事官が事実関係を調査した結果、海難が海技士等の故意または過失により発生したと認めたときに行う審判開始の申立てによって、審判を開始する。審判官の指揮のもと公開の審判廷で審判が行われ、口頭弁論に基づいて裁決が行われる。これらの準司法的な手続が採用されているので、海難審判所が行った裁決に不服がある者が提起する裁決の取消訴訟は、一審が省略され、東京高等裁判所の管轄に専属する。海難審判所の裁決は、確定ののちに、理事官がこれを執行する。
 以上のような海難審判は、審判の請求を行う理事官が検察官に、審判官が裁判官に、それぞれ類似する職権を行使するものであるが、海難の発生防止という行政目的のために行われる免許取消しなどの不利益処分の事前行政手続である。したがって、海難審判の目的は海難についての刑事責任を追及するというものではないし、またこれは損害が発生した場合に賠償責任の有無が争われる民事裁判とも無関係である。[稲葉一将]

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