(読み)ベン

デジタル大辞泉 「弁」の意味・読み・例文・類語

べん【弁〔辨〕〔辯〕〔瓣〕】[漢字項目]

[音]ベン(呉) [訓]わきまえる
学習漢字]5年
是非・善悪を区別する。わきまえる。「弁別思弁
けじめをつけて処理する。「弁済弁償勘弁支弁自弁
弁当。「駅弁腰弁こしべん
理屈を立てて話す。「弁解弁護弁難弁明弁論抗弁陳弁答弁論弁
理屈を立てた議論。また、しゃべること。ものの言いぶり。「弁舌詭弁きべん口弁多弁駄弁訥弁とつべん熱弁能弁雄弁
独特のしゃべり方。方言。「東北弁
花びら。「花弁かべん単弁離弁花
管の出入り口にあって流体の出入を調節する花びら状のもの。「弁膜安全弁僧帽弁
ずきん状の冠。「武弁
10 (「辨」の代用字)事を処理する。事務をさばく。「合弁買弁
11 (「辮」の代用字)糸などを編む。「弁髪
[補説]本来13は「辨」、46は「辯」、78は「瓣」と書いた。
[名のり]さだ・ただ・なか・のぶ・わけ
[難読]花弁はなびら

べん【弁/×瓣】

花びら。また、その数をかぞえる語。「五―の花」
管の途中や両端にあって、流体の遮断や流量の調整などのため、開閉できる装置。バルブ。「―を開く」
心臓などにある弁膜。
ウリの実のなかご。
オルゴール音源となる櫛歯状くしばじょうの金属板。櫛歯振動板
[類語]バルブ水栓蛇口カラン給水栓消火栓元栓耳栓コック

べん【弁/×辯】

ものの言いよう。話のしかた。「―の立つ人」
話。言葉で言い表すこと。「社長就任の―」「入社の―」
その地方の言葉づかい。「大阪―」
[類語]弁舌物言い言い回し

べん【弁/×辨】

物事の区別を見分けること。「上下の―」
物事を十分に理解すること。わきまえ。「是非の―」
弁官べんかん

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「弁」の意味・わかりやすい解説


べん

流体の流れている管の途中や容器に取り付けて、流体の流量、流速、圧力などを制御する装置。バルブvalveともいう。目的によりいろいろの種類があるが、もっとも多く使用されているのは止め弁である。青銅でつくられることが多いが合金鋼のものもある。そのほか仕切り弁、逆止め弁、減圧弁などがあり、コックも広義には弁の一種。形式、種類、寸法はJIS(ジス)(日本工業規格)に規定されている。

 流れを止める止め弁は、製作費もかからず遮断装置として広く使用されている。管に取り付けたとき管が一直線となる玉形弁と、管が直角に取り付けられるアングル弁とがある。管との接続にはねじ込み式とフランジ式とがある。止め弁は作用が確実で安価であるが、流体抵抗、圧力損失ともに大きい。仕切り弁は円板状の弁が管路を直角方向に閉じて流れを遮断するもので、ねじなどにより円板を引き上げて開く。引き上げる量により流量を制御することができる。弁の形により平行滑り弁と楔(くさび)形弁とがある。止め弁より圧力降下は少なく、弁箱の長さは短くてよいので高圧、高速で流量の多い場合に使用される。逆止め弁は一方向だけの流れを許し逆方向の流れを防止する弁で、危険防止または機能確保のために使用される。減圧弁は流体の圧力を自動的に減圧し、減圧後の圧力を一定に保つための弁で、ばねやダイヤフラムによって開閉される。絞り弁は流量を調節する弁で圧力は問題にしない。安全弁は圧力が制限値を超えたときに流体の一部を逃し、圧力の上昇を防止するための弁である。コックは気密な滑り面回転させ流体の流れを急激に遮断しまたは切り替えるのに使用される。管路に円板を置き、その回転により開きを加減する蝶(ちょう)弁というものもある。弁の材料としては使用圧力、温度、流体の種類を考えて、これに適合するものを選び、青銅、鋳鉄、鋼、合金鋼などが適宜使用される。

[中山秀太郎]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「弁」の意味・わかりやすい解説


べん
valve

(1) 弁座と組になって流体の遮断や制御を直接行う機械要素を弁または弁体という。弁体が弁座に接すれば流れを遮断し,弁座との間にすきまを開ければ流れる。管路の途中または管端にこれを取付けて,流体の流量,圧力の制御または流れの遮断に用いる。一般に用いられるものとして,止め弁仕切り弁コック逆止め弁減圧弁などがある。 (2) 音楽用語。金管楽器に使われる変音装置。全体の管長を変化させることによって,半音階的な演奏を可能にする。ピストン式とロータリー式がある。 (3) 生物の器官などの空所において,内容物が逆流しないように通路をさえぎる膜状物をいう。たとえば心臓には三尖弁,二尖弁が心房心室の間にある。そのほか静脈血管系,リンパ管系にも弁がみられる。

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化学辞典 第2版 「弁」の解説


ベン
valve

管内の流体の流れを調節したり止めたりするために用いる装置.流体が流れる孔と弁体の開閉動作の違いにより分類すると,孔の面に垂直に弁体が動く玉形弁,孔の面に平行に弁体が動く仕切弁,弁体がある軸のまわりを回転するバタフライ弁などがある.また,特別な構造をもつものに,一方向のみに流れを通し逆方向への流れは通さない逆止弁,弁の出口側の圧力をある一定値に保持する減圧弁,弁の入口側の圧力がある値を超えると開く安全弁などがある.弁と似たものに,低圧ガスに対して広く使われているコックがある.これは管の流路中に横腹に孔のあいている円すい状の栓があって,この栓をまわすことによって流量が調節できる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「弁」の解説

べん

古代伝承上の海女(あま)。
「倭姫命(やまとひめのみこと)世紀」によると,垂仁(すいにん)天皇のころ,志摩国崎村(くざきむら)鎧崎(よろいざき)(三重県鳥羽市)で潜水漁をしていたところ,倭姫命から伊勢神宮への熨斗鮑(のしあわび)の献上を命じられたという。蜑(あま)御前(潜女(かずきめ)神)といわれ,村社海士潜女(あまかずきめ)神社の祭神で,鎧崎海女(蜑)の祖とされる。

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改訂新版 世界大百科事典 「弁」の意味・わかりやすい解説

弁 (べん)

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百科事典マイペディア 「弁」の意味・わかりやすい解説

弁【べん】

バルブ

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栄養・生化学辞典 「弁」の解説

 血液の逆流を防ぐ機能を有する組織.心臓の心房から心室へ入るところ,および心室からの出口にある.

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【バルブ】より

…液体や気体を流す配管の中に組み込み,流れを通したり,止めたり,あるいはその量を調節するために用いられる機器。用途,種類などを表すことばと複合して用いるときは,仕切弁,玉形弁などのように弁と呼ばれる。 バルブの内部には,外部から操作できる弁体が組み込まれており,これを弁座に密着させて流れを遮断する。…

※「弁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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