日本大百科全書(ニッポニカ) 「淀江」の意味・わかりやすい解説
淀江
よどえ
鳥取県西部、西伯郡(さいはくぐん)にあった旧町名(淀江町(ちょう))。現在は米子市(よなごし)の東部を占める地区。旧淀江町は1889年(明治22)町制施行。1955年(昭和30)大和(やまと)、宇田川(うだがわ)の2村、高麗(こうれい)村の一部と合併。2005年(平成17)3月米子市に合併。日本海に沿ってJR山陰本線、国道9号が、西部を国道431号が通じ、大山(だいせん)町域の山陰自動車道淀江インターチェンジが近い。弓ヶ浜に続く砂堆(さたい)は動力灌漑(かんがい)によって畑地化し、葉タバコやニンジンの集団産地となっている。孝霊(こうれい)山(751メートル)は古期大山と同時期の火山で、大山との山競(やまくらべ)の伝承がある。西麓(せいろく)には約360の古墳(うち28が前方後円墳)が密集し、うち岩屋古墳、石馬谷(いしうまだに)古墳のある向山(むこうやま)古墳群、大山町域にまたがる妻木晩田(むきばんだ)遺跡は国指定史跡。水田帯の条里遺構の下層からは高床(たかゆか)の建物を線刻した弥生(やよい)中期の土器、上淀廃寺跡(国指定史跡)、石馬谷古墳からは本州唯一の石馬(国の重要文化財)などが出土している。これら出土遺物の一部は上淀白鳳の丘展示館で収納・展示している。中心集落の淀江は、近世は宿駅、また廻米(かいまい)積出し港であった。付近には鳥取藩の淀江台場跡(国指定史跡)がある。米作のほかニンジン、二十世紀ナシ、葉タバコ栽培があり、かつては淀江傘の特産地。民謡さんこ節(ぶし)や名水天(あめ)の真名井(まない)などが知られている。
[岩永 實]
『『淀江町史稿本』(1978~1979・淀江町)』