温帯夏雨気候(読み)オンタイカウキコウ

デジタル大辞泉 「温帯夏雨気候」の意味・読み・例文・類語

おんたいかう‐きこう〔ヲンタイカウ‐〕【温帯夏雨気候】

ケッペンの気候区分による温帯気候の一。符合はCw。温暖湿潤気候に似るが冬と夏とで乾湿の差が大きく、最多降雨月の降雨量が最少月の10倍以上。華南四川ヒンドスタン平原・アフリカ中南部・アンデス山脈中部など内陸部や高地にみられ、コメやイモの栽培が盛ん。温暖冬季少雨気候
[補説]最暖月平均気温がセ氏22度以上の地域(華南・ヒンドスタン平原など)をCwa、22度未満で平均気温10度以上の月が4か月以上の地域(アンデス山脈中部など)をCwb、同じく3か月以下の地域(極めてわずかに点在)をCwcに分ける場合もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「温帯夏雨気候」の意味・わかりやすい解説

温帯夏雨気候
おんたいなつあめきこう

温帯気候のうち、主として冬が乾期で夏に雨が多い気候。温暖冬季少雨気候ともいう。ケッペン気候区分でのCw気候で、代表的な地域として中国南西部にみられる。この気候地域は地中海性気候と同じく農産物の種類が多く、南方ではタバコ、ワタトウモロコシ小麦大麦エンバクジャガイモなどが栽培される。海岸からの距離や地形の変化などにより、気候の地域差が大きい地域でもある。中国大陸のほか、インド北部、エチオピア高原南アフリカ台地メキシコ高原ブラジル高原南部、オーストラリア北東部などに広く分布する。一部を除き人口密度はそれほど高くはないが、古くから文化の栄えた所も含んでいる。

[小林 望・福岡義隆]

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改訂新版 世界大百科事典 「温帯夏雨気候」の意味・わかりやすい解説

温帯夏雨気候 (おんたいかうきこう)
temperate rainy-summer climate

明瞭な四季の違いがあり温暖湿潤な温帯気候を,降水量の年間配分によって細区分した気候の一つで,温帯冬季乾燥気候あるいは温暖冬季少雨気候とも称する。年降水量は1000~2000mmの範囲であるが,夏から秋にかけては熱帯低気圧が発達した台風(東南アジア各地)やサイクロン(インドなど)が多量の雨をもたらすこともある。この発達した熱帯低気圧が暴風をもたらすが,夏季海洋からのモンスーン(季節風)が吹き,一般的に風は強い。植生としては,シイ,カシ,クスなどの常緑広葉樹や照葉樹が分布し,土壌は赤色土,黄色土などである。乾季と雨季の違い,あるいは冬の暖かさを利用して,米とか茶,サトウキビ,トウモロコシ,綿花,小麦などの栽培が行われている。米の二期作も華南や台湾,トンキンなどでみられる。このように農業にとって最適な気候であり,人間が生活を営むのに非常に適しているので,人口密度が高い地域である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「温帯夏雨気候」の意味・わかりやすい解説

温帯夏雨気候
おんたいかうきこう
Cw climate

温帯気候のうち降水量が夏に多い気候。温帯冬乾燥気候ともいう。熱帯性低気圧や季節風がおもな要因となっている。ウラジーミル・P.ケッペンの気候区分では,夏の最多雨月降水量が冬の最寡雨月降水量の 10倍以上の地域としており,その代表地域はモンスーンによる雨季があるインドのヒンドゥスターン平原や中国,アフリカのエチオピア高原,メキシコ高原,ブラジル高原,オーストラリア北東部など。

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