湯田川温泉(読み)ゆたがわおんせん

日本歴史地名大系 「湯田川温泉」の解説

湯田川温泉
ゆたがわおんせん

[現在地名]鶴岡市湯田川

湯田川地区の中央にある。庄内三湯の一。和銅五年(七一二)に、一羽の傷ついた白鷺が湧出する湯に浸り、傷を治して飛去ったことから発見されたと伝える。その故事からさぎの湯ともいわれる源泉は、温泉の守護神由豆佐売ゆずさめ神社の真正面にあることから正面しようめんの湯といわれた。そのほか田を耕す眼を患う牛がその湯に浴して全快したことから名がついたとされるの湯、学頭がくとうの湯などがあった(「筆濃余理」など)

効能は、天保三年(一八三二)木版刷の羽州荘内田川温泉図付温泉の記には「中風・脚気・疝気・上昇・眼疾・疥癬・諸瘡に妙あり。惣て諸症に験ありて障ある事なし。只風邪悪寒頭痛の気味あるもの必浴すべからず」とある。この温泉図には正面の湯・学頭の湯・田の湯のほかに、湯印(内湯の旅籠屋か)が一二軒、旅籠屋印(内湯なしの)八軒がみえている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「湯田川温泉」の意味・わかりやすい解説

湯田川温泉
ゆたがわおんせん

山形県西部,鶴岡市の金峰山 (459m) のふもとにある温泉。泉質は石膏泉泉温 45℃。動脈硬化症にきく。庄内から越後へ通じる街道 (国道 345号線) 沿いにあり,江戸時代は丘陵に囲まれた閑静な保養地として発展。出羽三山行者もわらじ脱ぎの場所として利用し,農民湯治場として繁栄してきた。付近はモウソウチク産地としても知られる。鳥海山を望む静かな保養温泉地。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「湯田川温泉」の意味・わかりやすい解説

湯田川温泉
ゆたがわおんせん

山形県西部、鶴岡市(つるおかし)にある温泉。金峰(きんぽう)山の西麓(せいろく)に位置し、江戸期には庄内(しょうない)藩主酒井氏の御殿湯があった。出羽(でわ)三山行者の寄宿も多く、湯野浜、温海(あつみ)温泉とともに庄内三楽郷の一つに数えられた。現在は鶴岡の奥座敷といわれる静かな温泉場。泉質は硫酸塩泉。2001年(平成13)に国民保養温泉地に指定された。国道345号が通じ、JR羽越本線鶴岡駅からバス便がある。

[中川 重]

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デジタル大辞泉プラス 「湯田川温泉」の解説

湯田川温泉

山形県鶴岡市にある温泉。県西部、金峰山の西麓に位置する。庄内藩主酒井家の湯治場、出羽三山行者の逗留地として栄えた。2001年、国民保養温泉地に指定。

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