湿(読み)シツ

デジタル大辞泉の解説

しつ【湿】

湿気。しめりけ。うるおい。
「火光は―を帯びて焔青く影暗く」〈織田訳・花柳春話
疥癬(かいせん)

しつ【湿〔濕〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]シツ(慣) [訓]しめる しめす しとる
しめる。しめりけ。「湿気(しっき・しっけ)湿潤湿地湿度湿布陰湿除湿多湿
[難読]湿気(しけ)る

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精選版 日本国語大辞典の解説

しつ【湿】

〘名〙
① しめりけ。湿気。うるおい。また、しめったものやところ。しち。
※徒然草(1331頃)一七一「風に当り、湿に臥して、病を神霊に訴ふるは、愚かな人なり」 〔易経‐乾卦〕
② 湿瘡(しっそう)。疥癬(かいせん)。皮癬(ひぜん)
※俳諧・炭俵(1694)上「敷金に弓同心のあとを継〈野坡〉 丸九十日湿をわづらふ〈利牛〉」

しとり【湿】

〘名〙 (動詞「しとる(湿)」の連用形の名詞化) 水分を含んでしめっていること。また、そのしめり。しっけ。うるおい。
※浮世草子・浮世栄花一代男(1693)二「汗のしとりをふきて」

しと・る【湿】

〘自ラ五(四)〙
① 水分を含んでしっとりと濡れる。しめる。しける。
※俳諧・沙金袋(1657)比「あかつきのしとる羽二重や衣がへ〈貞長〉」
※新世帯(1908)〈徳田秋声〉一三「湿(シト)った塩煎餠を猫板の上へ出した」
② 落ち着く。
※玉塵抄(1563)三六「沈勇にして性がしづみしとってけなげにして思案ふかうして大なことをようないたぞ」

しめし【湿】

〘名〙 (動詞「しめす(湿)」の連用形の名詞化)
① しめらせること。ぬらすこと。
※俳諧・犬子集(1633)三「朝露はただ蛍火のしめし哉〈円成〉」
② 小児の大小便を取るために腰から下に巻く布。おしめ。おむつ。
※歌舞伎・芽出柳緑翠松前(1883)三幕「おお泣きやんな泣きやんな久しう乗って居たゆゑに、しめしの汚れた時分、今に取替へて遣りますわいの」

しめ・す【湿】

〘他サ五(四)〙
① しめらせる。濡らす。湿りけを与える。
※名語記(1275)八「はり物をしめす、しめし如何。しめしは湿布とも潤布ともかけり、みな義道也」
※京大二十冊本毛詩抄(1535頃)一三「毛心はさむい泉の水があるぞ。我がかってをいた薪をしめさぬやうにせい」
② 水に濡らして火を消す。転じて、灯火などを吹き消す。
※御伽草子・おようの尼(室町時代短篇集所収)(室町末)下「さらば火をしめし候べし」
※俳諧・鷹筑波(1638)一「ほうづきやくちびるでしも吹ぬらん〈玄康〉 蝋燭の火をしめすちゃうちん〈同〉」
③ 筆に墨をつける。転じて、手紙などを書く。
※浮世草子・好色万金丹(1694)一「明くる日は奉書二枚に長々としめしまいらせ」

しめら‐・う ‥ふ【湿】

〘自ハ四〙 (動詞「しめる(湿)」の未然形に反復・継続の助動詞「ふ」が付いて一語化したもの) 水にぬれつづける。ひっきりなしにぬれる。蒸し暑くて、汗が流れつづける。
※大野広城本散木奇歌集(1128頃)秋「秋来ては風ひややかなる暮もあるに暑さしめらひむつかしの身や」

しめら・す【湿】

〘他サ五(四)〙 水分を含ませる。水気を帯びさせる。
※西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉八「『ラムネ』に咽(のど)を湿(シメ)らし」

しめり【湿】

〘名〙 (動詞「しめる(湿)」の連用形の名詞化)
① 湿ること。水分を含んでうるおうこと。うるおい。湿気。水気。
※源氏(1001‐14頃)梅枝「おのおの御使して、この夕暮のしめりに試みむと聞え給へれば」
② 雨が降ること。また、雨。雨を待ち望んでいるときや、望んでいて適度の降雨があったときにいう。おしめり。
※俳諧・仏の兄(1699)「村はみな法華斗のなびき松 よんべ降たはよいしめり也」
③ 火が消えること。火事が消えること。

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