デジタル大辞泉 「湿」の意味・読み・例文・類語 しつ【湿〔濕〕】[漢字項目] [常用漢字] [音]シツ(慣) [訓]しめる しめす しとるしめる。しめりけ。「湿気しっき・しっけ・湿潤・湿地・湿度・湿布/陰湿・除湿・多湿」[難読]湿気しける しつ【湿】 1 湿気。しめりけ。うるおい。「火光は―を帯びて焔青く影暗く」〈織田訳・花柳春話〉2 疥癬かいせん。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「湿」の意味・読み・例文・類語 しめり【湿】 〘 名詞 〙 ( 動詞「しめる(湿)」の連用形の名詞化 )① 湿ること。水分を含んでうるおうこと。うるおい。湿気。水気。[初出の実例]「おのおの御使して、この夕暮のしめりに試みむと聞え給へれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)梅枝)② 雨が降ること。また、雨。雨を待ち望んでいるときや、望んでいて適度の降雨があったときにいう。おしめり。[初出の実例]「村はみな法華斗のなびき松 よんべ降たはよいしめり也」(出典:俳諧・仏の兄(1699))③ 火が消えること。火事が消えること。④ 「しめりばん(湿半)」の略。 しつ【湿】 〘 名詞 〙① しめりけ。湿気。うるおい。また、しめったものやところ。しち。[初出の実例]「風に当り、湿に臥して、病を神霊に訴ふるは、愚かな人なり」(出典:徒然草(1331頃)一七一)[その他の文献]〔易経‐乾卦〕② 湿瘡(しっそう)。疥癬(かいせん)。皮癬(ひぜん)。[初出の実例]「敷金に弓同心のあとを継〈野坡〉 丸九十日湿をわづらふ〈利牛〉」(出典:俳諧・炭俵(1694)上) しめし【湿】 〘 名詞 〙 ( 動詞「しめす(湿)」の連用形の名詞化 )① しめらせること。ぬらすこと。[初出の実例]「朝露はただ蛍火のしめし哉〈円成〉」(出典:俳諧・犬子集(1633)三)② 小児の大小便を取るために腰から下に巻く布。おしめ。おむつ。[初出の実例]「おお泣きやんな泣きやんな久しう乗って居たゆゑに、しめしの汚れた時分、今に取替へて遣りますわいの」(出典:歌舞伎・芽出柳緑翠松前(1883)三幕) しとり【湿】 〘 名詞 〙 ( 動詞「しとる(湿)」の連用形の名詞化 ) 水分を含んでしめっていること。また、そのしめり。しっけ。うるおい。[初出の実例]「汗のしとりをふきて」(出典:浮世草子・浮世栄花一代男(1693)二) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通 「湿」の読み・字形・画数・意味 湿常用漢字 12画(旧字)濕人名用漢字 17画(異体字)13画 [字音] シツ・シュウ(シフ)・トウ(タフ)[字訓] うるおう・しめる[説文解字] [字形] 会意旧字は濕に作り、(けん)+水。は顯(顕)の初文。濕は隰と同声で、声義の関係がある。〔説文〕十一上に水名とするが、また別にの省声の字として(しゆう)をあげ、「幽(いうしふ)なり」と訓する。〔説文〕に水名とする濕は、〔水経注〕や〔漢書、地理志〕に「(たふ)水」とするもので、濕もその声でよむ。のち濕を字の意に用いて、湿潤の意とする。は玉(日の形)に呪飾として両糸を加えた形で、これによって神を招き、その顕(あら)われることをねがう。顯はを拝する形。霊の顕現することをいう。絲(糸)の呪飾のないものが、現の字である。隰は(ふ)、聖梯のある聖所で、神の顕われることをねがう意。その儀礼の場所をいう。水辺のところならば濕という。水辺にもまた聖地があった。のち湿潤の地を濕という。は土に従い、土は(社)の初文。そこに神を招いて祀った。[訓義]1. しめる、しめったところ、その水辺の地に神を迎える。聖梯に迎えることを隰という。2. うるおう、ぬれる。3. うれえる、気が沈む。4. ひくい、いやしい、卑下する。[古辞書の訓]〔名義抄〕濕 ウルフ・ホル/ ウカブ・オソシ 〔字鏡集〕濕 ウカブ・ウルフ・ヲソシ・ホル[語系]濕・sjip、隰zipは声近く、同系の語であろう。隰は〔説文〕十四下に「阪下のなり」とするが字義が明らかでない。〔爾雅、釈地〕に「下を隰と曰ふ」とあり、字はによって義をえているものというべく、は神の顕現を待つ玉の呪飾である。ゆえにその聖地を濕・隰という。[熟語]湿奥▶・湿雲▶・湿疫▶・湿気▶・湿季▶・湿邪▶・湿潤▶・湿暑▶・湿疹▶・湿翠▶・湿雪▶・湿沾▶・湿地▶・湿蟄▶・湿▶・湿土▶・湿熱▶・湿痺▶・湿風▶[下接語]雨湿・汚湿・下湿・乾湿・宿湿・潤湿・暑湿・蒸湿・燥湿・多湿・朝湿・低湿・泥湿・霑湿・卑湿 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報