満ちる(読み)ミチル

デジタル大辞泉 「満ちる」の意味・読み・例文・類語

み・ちる【満ちる/充ちる】

[動タ上一][文]み・つ[タ上二]
一定の枠、空間限界を越えそうになるほどいっぱいになる。あふれる。「会場熱気に―・ちている」「香りが部屋に―・ちる」「危険に―・ちた戦線
ある感情・気持ちなどがいっぱいにゆきわたる。「希望に―・ちた青春」「敵意に―・ちる」
整って欠けたところがなくなる。特に、満月になる。「月が―・ちる」⇔欠ける
海面水位が最も高くなる。満潮になる。「潮が―・ちる」
決められた期間期限に達する。一定の期間が終わる。「任期が―・ちる」「月が―・ちて子供が生まれる」
[類語]みなぎる満たす

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「満ちる」の意味・読み・例文・類語

み・ちる【満・充・盈】

  1. 〘 自動詞 タ行上一 〙
    [ 文語形 ]み・つ 〘 自動詞 タ行上二段活用 〙 ( 四段動詞「みつ(満)」に同じ。中世以降現われた形 )
  2. 満潮になる。さす。
    1. [初出の実例]「シヲガ mitçuru(ミツル)」(出典日葡辞書(1603‐04))
  3. 満月になる。「月が満ちる」
  4. 人や物がいっぱいになる。充足する。「会場に満ちる」
    1. [初出の実例]「金嚢に銀貨の充ちたるはさらなり」(出典:小学読本(1874)〈榊原・那珂・稲垣〉五)
  5. ある基準に達する。満期になる。一定の期間が経過してくぎり目の時期がくる。「任期が満ちて引退する」
    1. [初出の実例]「今二百部残りけるを、六百部に満(ミツ)る程の命を相待候て」(出典:太平記(14C後)二)
  6. いっぱいに広がる。「香りが満ちる」
    1. [初出の実例]「耳に満(ミツ)る物は鳴下雷の音」(出典:源平盛衰記(14C前)七)
  7. 感情や生気、雰囲気などがゆきわたる。あふれそうになる。
    1. [初出の実例]「同情に充(ミ)ちた眼を故郷の空に向けた」(出典:道草(1915)〈夏目漱石五八)

満ちるの補助注記

現代語としては五段活用より上一段活用の方が一般的なので、連用形みち」は本項におさめたが、打消表現には、五段活用が用いられることがある。「意に満たない」「百人に満たない」など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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