滞る(読み)トドコオル

デジタル大辞泉 「滞る」の意味・読み・例文・類語

とどこお・る〔とどこほる〕【滞る】

[動ラ五(四)]
物事が順調に運ばない。はかどらない。つかえる。「仕事が―・る」
金を支払うべき期限になっても支払わない。「家賃が三月分―・る」
流れがとまる。停滞する。「交通が―・る」
ためらう。ぐずぐずする。
「何ごとにかは―・り給はむ」〈賢木
[類語]ぐずつく淀むもたつく支える手間取る渋滞停滞凝滞結滞沈滞延滞遅滞停頓

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「滞る」の意味・読み・例文・類語

とどこお・るとどこほる【滞】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 途中でつかえて、先へ行かなくなる。停滞する。つかえる。よどむ。
    1. [初出の実例]「ことどひすれば 群鳥(むらとり)の 出でたちかてに 等騰己保里(トドコホリ) かへり見しつつ いや遠に 国を来離れ」(出典万葉集(8C後)二〇・四三九八)
  3. こりかたまる。むすぼる。集まる。こる。
    1. [初出の実例]「重濁(かさなりにこ)れるものは淹滞(トトコホリ)て地(つち)と為(な)るに及むで」(出典:日本書紀(720)神代上(兼方本訓))
  4. からみついて、動く邪魔になる。
    1. [初出の実例]「衣手に取り等騰己保里(トドコホリ)泣く児にもまされる吾を置きていかにせむ」(出典:万葉集(8C後)四・四九二)
  5. 差し支えがあり、物事のなりゆきが順調でなくなる。
    1. [初出の実例]「意に随ひて成就して礙滞(トトコホル)こと無からむと欲(おも)はむ者(い)は」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)八)
  6. 自制して、心のままにふるまうことをさける。ためらう。ぐずぐずする。躊躇する。
    1. [初出の実例]「これは何事にかはとどこほり給はむ、ゆくゆくと宮にもうれへ聞え給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)賢木)
  7. 流れているものがとまる。
    1. [初出の実例]「おしのごひまぎらはし給ふとおぼす涙の、やがてとどこほらずふりおつれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蜻蛉)
  8. 定期的に納めるべき金品が、未納のままたまる。順調に返済納付が行なわれなくなる。
    1. [初出の実例]「ととこほる時もあらじな近江なるおものの浜のあまのひつぎは」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)神楽歌・六〇八)
  9. 和歌で「とどこほる」に「氷る」をかけていう。すらすらと氷がとけて行かなくなる。
    1. [初出の実例]「谷深みやましたかげにゆく水はとくるもいさやとどこほりつつ」(出典:斎宮女御集(985頃か))

とどこ・る【滞】

  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙とどこおる(滞)字鏡集(1245)〕
    1. [初出の実例]「小笠原上洛の路に滞(トトコッ)て、不慮両度合戦を致し」(出典:太平記(14C後)一七)

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