(読み)セ

デジタル大辞泉 「瀬」の意味・読み・例文・類語

せ【瀬】

川などの流れが浅く歩いて渡れる所。浅瀬。「を渡る」⇔ふち
川の流れの急な所。また、海水の流れ。潮流。「を下る」「潮
物事に出あうとき。機会。「身をすててこそ浮かぶもあれ」「
置かれている立場。「立つがない」
そのような点。ふし
「かへりて面だたしげなるを、うれしき―もまじりて、大臣おとどは御涙のいとまなし」〈・葵〉
場所。ところ。
「聞かずともここを―にせむ時鳥ほととぎす山田の原の杉の群立ち」〈新古今・夏〉
[類語]浅瀬川瀬早瀬急湍きゅうたん浅み遠浅

らい【瀬】[漢字項目]

常用漢字] [音]ライ(呉)(漢) [訓]
〈ライ〉水の流れの浅い所。流れの急な所。「急瀬きゅうらい
〈せ〉「瀬戸浅瀬川瀬早瀬

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「瀬」の意味・読み・例文・類語

せ【瀬・湍】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 歩いて渡れる程度の浅い流れ。あさせ。また、急流。はやせ。広く、川の流れや潮流もいう。
    1. [初出の実例]「隠国(こもりく)の 泊瀬の河の 上つ勢(セ)に 斎杙(いくひ)を打ち 下つ勢(セ)真杙(まくひ)を打ち」(出典古事記(712)下・歌謡)
    2. 「世中はなにかつねなるあすかがはきのふのふちぞけふはせになる〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑下・九三三)
  3. ある物事に出合う時。その場合。おり。
    1. [初出の実例]「試みに猶おりたたむ涙川うれしきせにも流れあふやと〈橘敏仲〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)恋二・六一二)
    2. 「二もとの杉のたちどをたづねずばふる川のべに君を見ましや、うれしきせにも、ときこゆ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)
  4. そのような箇所。ふし。点。
    1. [初出の実例]「嬉しきせもまじりて、大臣は御涙のいとまなし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)
  5. ある物事を行なう場所。その場所。ところ。居所
    1. [初出の実例]「聞かずともここをせにせん郭公(ほととぎす)山田の原の杉の群立西行〉」(出典:新古今和歌集(1205)夏・二一七)
  6. ある人が置かれている境遇。立場。
    1. [初出の実例]「ナニ、その餓鬼めが売られる事は否だ。アノ、うぬは親の瀬(セ)に立つ事は否か」(出典:歌舞伎・謎帯一寸徳兵衛(1811)中幕)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「瀬」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 19画

(旧字)
人名用漢字 19画

[字音] ライ
[字訓] せ・はやせ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(頼)(らい)。〔説文〕十一上に「水、沙上をるるなり」とあり、浅瀬をいう。石の多い山川の急湍のところ。わが国では、狭い海峡を瀬門(せと)という。

[訓義]
1. せ、あさせ、はやせ。
2. 国語で、わたりせ、せと。

[古辞書の訓]
和名抄 世(せ)〔名義抄 セ

[語系]
lat、than、湍thuanは声義通じ、みなはやせをいう。また喘thjiuan、zjiuanもその系統の語で、疾なるものをいう。

[熟語]
瀬下
[下接語]
下瀬・急瀬・驚瀬・渓瀬・激瀬・懸瀬・疾瀬・迅瀬・石瀬・衝瀬・湍瀬・瀬・怒瀬・奔瀬・流瀬

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【海底地形】より

… 深海平原abyssal plainplain―深海にあって,平たんか緩く傾斜するか,またはほぼ水平な地域。 瀬shoal沖合にある未固結物質からなる海上航行に危険な場所。 尖礁pinnacle高い塔状か,尖った柱状の岩やサンゴをいい,頂上は孤立しているか嶺をなしている。…

【川】より

…そのことによって,河川にも人間環境の一部としての地位が継続的に確保される。河川計画河川法洪水水運分水界流域【松田 磐余】【三井 嘉都夫】
【川の生物群集】
 川の生物群集は,上流・中流・下流などの川の大きな区分(河川形態型)や,瀬や淵などの小さな区分(河床型)によって異なっている。上流では一つの蛇行区間に多くの瀬と淵が連続し,水は滝のように落ち込むが,中流では1蛇行区間に瀬と淵が一つずつ交互に出現し,水は瀬から淵へ比較的なめらかに流れ込む。…

【礁】より

…とくに頂部がとがったものを尖礁という。これに対し沖合にある未固結物質からなる浅所で海上航行に危険なものを瀬shoalといい,海上航行に十分な水深を有する浅所は海底物質のいかんにかかわらず(たい)bankという。【佐藤 任弘】。…

※「瀬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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