灘五郷(読み)ナダゴゴウ

百科事典マイペディアの解説

灘五郷【なだごごう】

摂津(せっつ)国西部の沿岸地帯の総称であるのうち,江戸時代から清酒醸造業が盛んであった地域の通称。灘目(なだめ)(灘辺の意)ともいい,東は武庫(むこ)川口から西は旧生田(いくた)川の近くまでをいう。江戸時代中期以降,伊丹池田といった先進地に代わって江戸積酒造業が盛んになり,1772年には上方(かみがた)酒家10ヵ所のなかに上灘目・下灘目が数えられている。1784年には今津(いまづ)を含めた3郷が摂泉(せっせん)12郷の江戸積酒造仲間に加わっている。なかでも上灘の発展は著しく,最盛期には3組(3郷)に分かれた。この3郷に下灘を合わせて灘目4組,これに今津を含めて灘五郷と称した。明治期に下灘はこの仲間組合から脱落し,1886年に改めて摂津灘酒造業組合を結成するに当たり,西宮(にしのみや)が参加し,それに今津・魚崎(うおざき)・御影(みかげ)・西郷をもって灘五郷の形成となり,今日に至る。

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世界大百科事典 第2版の解説

なだごごう【灘五郷】

灘五郷とは灘の生一本(きいつポん)の銘醸地の総称で,江戸時代の中期以降より急速に江戸積酒造業が発展し,今日にいたるまで全国有数の酒造地を形成している。現在の灘五郷は,兵庫県南東部の海岸寄りにある今津郷・西宮郷(西宮市),魚崎郷・御影(みかげ)郷(神戸市東灘区)と西郷(神戸市灘区)の5郷からなる。しかしこれは1886年に摂津灘酒造業組合が創設されて以来の名称であって,江戸時代の地域区分とは若干異なっている。

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大辞林 第三版の解説

なだごごう【灘五郷】

兵庫県、灘一帯の酒造地。地域・名称は歴史的には変遷があるが、現在は西宮郷・今津郷(以上西宮市)・東郷・中郷(以上神戸市東灘区)・西郷(神戸市灘区)の五郷をいう。 → 灘(地名)

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世界大百科事典内の灘五郷の言及

【西宮[市]】より

…尼崎,西宮,兵庫の3町の経済力に強く依存した同藩は,とくに西宮町人の資力に期待し,初期の藩札貞享元年札(1684)の発行にはもっぱら西宮町人を札元として発行しているほどである。18世紀後半には灘地方および町の南東に接する今津村にいわゆる灘三郷酒造業の台頭があり,西宮はこれら新酒造地帯の追込みをうけながらも繁栄を続ける(1819年(文政2)以降灘三郷は五郷に発展するが,西宮が灘五郷のうちの一郷となるのは85年である)。幕府はこの兵庫・灘・西宮地方の繁栄に注目し,1769年(明和6)この地域一帯を幕府領に収公した。…

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