兵庫県東部、尼崎(あまがさき)市と西宮(にしのみや)市の境界を流れる武庫(むこ)川の河口から神戸市の旧湊(みなと)川河口へ至る約20キロメートルの地域。酒造に適した良質の地下水「宮水(みやみず)」が湧出(ゆうしゅつ)し、灘五郷とよばれる酒造地を形成してきた。東部から西宮市の西宮郷、今津(いまづ)郷、神戸市東灘区の東郷(とうごう)(深江、青木、魚崎(うおざき)地区)、中郷(なかごう)(住吉(すみよし)、御影(みかげ)、石屋(いしや)、東明(とうみょう)地区)、灘区の西郷(にしごう)(大石、岩屋(いわや)、味泥(みどろ)地区)の五郷である。1840年(天保11)魚崎の山邑(やまむら)太左衛門は、西宮の宮水が酒質を高めることに着目し、これを持ち帰り酒造にあて、以後、灘一帯では宮水を用いるようになったという。その後、海岸工業地帯の発達などの影響により宮水地帯は北に移っている。酒造も技術開発による近代化が進んでいる。なお、白鶴(はくつる)酒造資料館など酒造会社のつくった博物館が各地にみられる。
[藤岡ひろ子]
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兵庫県南東部,大阪湾北岸の地区名。東は尼崎市と西宮市の境の武庫(むこ)川河口から,西へ芦屋市,神戸市東灘区,灘区を経て神戸市中央部の旧生田川河口付近にまで至る。ほぼ直線状に長さ20km余にわたり,清酒の産地として知られる灘五郷を含む。東海道本線,阪神電鉄本線,国道2号,43号線が狭い市街地を東西に並行して走る。大正中期に海岸を埋め立てて,川崎造船所,神戸製鋼が進出して以来,埋立てによる工業用地の造成が相次ぎ,阪神工業地帯の重要な一角を占めるようになった。また1960年代以降,同じく埋立てによって摩耶(まや)埠頭やポートアイランド(436ha)が建設され,神戸港の港湾機能が拡充された。現在はさらに六甲アイランド(580ha)の造成が進んでいる。
執筆者:大沢 正敏
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…伊丹では冬期のいわゆる寒(かん)づくりにより量産化がはかられた。これまで原料米は足で踏んで杵を動かす方法で精米されていたが,18世紀後期西摂津の灘(なだ)で六甲山からの急流を利用した水車精米が普及した。足踏式では玄米の10%をぬかとして取り去った90%精白米を得るのが限度であったが,水車式精米機の出現で,80%以下まで精白することが可能となった。…
…灘五郷とは灘の生一本(きいつポん)の銘醸地の総称で,江戸時代の中期以降より急速に江戸積酒造業が発展し,今日にいたるまで全国有数の酒造地を形成している。現在の灘五郷は,兵庫県南東部の海岸寄りにある今津郷・西宮郷(西宮市),魚崎郷・御影(みかげ)郷(神戸市東灘区)と西郷(神戸市灘区)の5郷からなる。…
…兵庫県南東部,大阪湾北岸の地区名。東は尼崎市と西宮市の境の武庫(むこ)川河口から,西へ芦屋市,神戸市東灘区,灘区を経て神戸市中央部の旧生田川河口付近にまで至る。ほぼ直線状に長さ20km余にわたり,清酒の産地として知られる灘五郷を含む。…
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