火の番(読み)ヒノバン

デジタル大辞泉 「火の番」の意味・読み・例文・類語

ひ‐の‐ばん【火の番】

火事に備えて番をすること。また、その人。 冬》「―の障子に太き影法師虚子
江戸幕府職名目付支配に属し、江戸城内の火事の警戒にあたった。
大奥の女中職の一。各部屋の火の用心にあたった。

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改訂新版 世界大百科事典 「火の番」の意味・わかりやすい解説

火の番 (ひのばん)

火災の予防・発見をすること。またはその番人。南北朝時代には都の警固の武士たちが町の見回りをしていた。また火番という侍がいて,火事を発見すると主家へ知らせる役目をもっていた。この役は火事を見つけるのが専門で,消火はしなかった。江戸時代になると,江戸の度重なる火災のため,幕府が寛永年間(1624-44)に表火之番と奥火之番を与力・同心で組織し,城内の火の元を警戒させた。同時期には本格的な消防組織として大名火消が小大名16家によって編成され,交代で火消役を出した。明暦の大火(1657)以後,機敏性を欠く大名火消のほかに幕府直属の江戸中定火之番つまり定火消が組織され,城下数ヵ所に火消屋敷が設置された。そこには火の見櫓を設けて昼夜火の番が見張りに立ち,出火を発見すると太鼓合図を出した。町方でも自衛の火消組織ができ,警備のために各町内に自身番,町境には木戸番が設置された。自身番は公用や町内の雑務のほかに町内を回って火の番にあたった。木戸番は番太郎とも呼ばれ,夜間には拍子木を打って夜警に回った。江戸初期の火番は屋根に上って火を見る屋根番だったが,享保年間(1716-36)には10町内に一つずつ火の見櫓が設けられ,それのない町内は自身番小屋の屋上に火の見梯子が立てられた。いずれも半鐘をつるし,その打ち方によって火の遠近を知らせた。村方では近代まで若者組や五人組が消防に従事していた。夜間,拍子木や金棒をもって巡回し,火の元の警戒にあたった。
火消 →夜警
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「火の番」の意味・わかりやすい解説

火の番
ひのばん

夜廻り

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