六訂版 家庭医学大全科 「無月経・乳汁分泌症候群」の解説
無月経・乳汁分泌症候群
むげっけい・にゅうじゅうぶんぴつしょうこうぐん
Amenorrhea-galactorrhea syndrome
(内分泌系とビタミンの病気)
どんな病気か
原因は何か
高プロラクチン血症は種々の原因によって起こります。妊娠女性では、妊娠の進行とともにプロラクチンが高値となります。
原因としては、下垂体におけるプロラクチン産生
ある種の抗精神薬や胃薬は、ドーパミンの作用を阻害することによりプロラクチンを増加させます。また、降圧薬の一種(レセルピン)もプロラクチンを増加させます。ピルなどの経口避妊薬も、視床下部のドーパミン活性を抑制するとともに下垂体に直接作用して、プロラクチン産生や分泌を刺激させます。
症状の現れ方
高プロラクチン血症であっても、必ずしも症状を伴うものではありません。性成熟期の女性では、乳汁漏出と月経異常が主要な徴候となります。男性の場合は症状が乏しく、不妊等の検査でみつかることがあります。この場合は、腫瘍が大きくなっていることがよくみられます。下垂体腫瘍が大きい場合には、腫瘍による視神経圧迫のため
検査と診断
血中プロラクチン値を測定するとともに、分娩歴や内服薬の確認を行ないます。血中プロラクチンが高値の時は、プロラクチン産生腫瘍の可能性が高いため、MRIで下垂体病変の検査を行います。
血中プロラクチン値が軽度~中等度の時には、薬剤服用の有無、プロラクチン産生腫瘍以外の原因について検査します。
治療の方法
内服している薬剤が原因と考えられる場合は、その薬剤を中止します。
下垂体プロラクチン産生腫瘍治療の第一選択は、現在、薬物療法という考え方が主流です。薬により血中プロラクチン値は低下し、腫瘍も縮小します。一方、腫瘍が大きく、視野障害などがあり、腫瘍サイズの縮小が急がれるものについては、手術が選択されることもあります。
病気に気づいたらどうする
内分泌専門医を受診してください。この疾患の大部分は内服薬による治療が可能です。治療によりプロラクチン値は低下し、腫瘍も縮小します。高プロラクチン血症の是正により、生殖機能を回復させ、
蔭山 和則, 須田 俊宏
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報