熊本バンド(読み)クマモトバンド

デジタル大辞泉 「熊本バンド」の意味・読み・例文・類語

くまもと‐バンド【熊本バンド】

明治初期に熊本洋学校の生徒が結成したキリスト教徒グループ。米国人教師ジェーンズの感化を受けた海老名弾正徳富蘇峰ら35名が明治9年(1876)、熊本城外の花岡山に集い、信仰を守り広めることを誓約した。後、その多くが京都の同志社英学校に移り、熊本バンドと呼ばれた。横浜バンド札幌バンドと並んで日本のプロテスタントの三大源流の一つとされる。

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精選版 日本国語大辞典 「熊本バンド」の意味・読み・例文・類語

くまもと‐バンド【熊本バンド】

  1. ( バンドは[英語] band ) 熊本洋学校教官として招かれたアメリカ人ジェーンズによってキリスト教信仰に導かれた海老名弾正、徳富蘇峰ら熊本洋学校生徒有志の一団。明治九年(一八七六)熊本城外花岡山において、祈祷会を開き奉教趣意書に署名した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「熊本バンド」の意味・わかりやすい解説

熊本バンド
くまもとばんど

明治初期、熊本洋学校生徒の間に結成されたプロテスタント・クリスチャンのグループ。彼らはアメリカ人教師ジェーンズの強い感化のもとに聖書を学び、洗礼を受け、キリスト教によって祖国を救おうという固い決意のもとに、1876年(明治9)熊本郊外の花岡山において奉教趣意書に署名・誓約した。その数35人のなかには、宮川経輝(みやがわつねてる)(1857―1936)、金森通倫(かなもりつうりん)、海老名弾正(えびなだんじょう)、徳富蘇峰(とくとみそほう)、横井時雄らがおり、その多くはのちに同志社に学び、組合教会と結び付いた。また、彼らに共通するのは、信仰の情熱とともに、祖国日本の社会に対する真摯(しんし)な使命感と責任感であり、ここから、宗教界のみならず、広く政財界、言論界に活躍する人材を生み出すこととなった。

[金井新二 2018年3月19日]

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改訂新版 世界大百科事典 「熊本バンド」の意味・わかりやすい解説

熊本バンド (くまもとバンド)

熊本洋学校に学び,キリスト教に入信し,同志社英学校に学んだ人々。熊本洋学校は横井小楠の流れをくみ,洋学を教え,国家に有為の人物養成を目ざして自由で規律ある開発教育をした。その教学上の責任者ジェーンズの感化でキリスト教に入信した35名は,1876年奉教趣意書に署名し,キリスト教による人民の啓蒙教化を誓い合った。このため迫害が起こり,彼らの多くは同志社に移った。彼らはキリスト教と儒教や近代学問の相関性をたいせつにし,後に教育界,キリスト教界,言論界,実業界に活躍した者が多い。小崎弘道,海老名弾正,宮川経輝,金森通倫,横井時雄,徳富蘇峰,浮田和民,市原盛宏,下村孝太郎らである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「熊本バンド」の意味・わかりやすい解説

熊本バンド
くまもとバンド

L.L.ジェーンズの影響を受けてキリスト教に入信した青年たちをいう。明治4 (1871) 年熊本藩は洋学校をつくり,教官にジェーンズを招いた。ジェーンズは自宅に青年たちを集め聖書を教えたため,学生 35名は熱心なキリスト者となり,父母や藩の反対を押切り,1876年キリスト教によって祖国を救おうとする奉教趣意書に誓約した。この学生たちのなかには宮川経輝金森通倫海老名弾正,原田助,徳富蘇峰らの名がある。彼らはその後同志社英学校に入学し,卒業後各方面で活躍した。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「熊本バンド」の解説

熊本バンド
くまもとバンド

熊本洋学校の教師L.L.ジェーンズの教えをうけ,1876年(明治9)熊本の花岡山で奉教趣意書に署名しプロテスタント・キリスト教を奉じて,これを日本に広めようと盟約した人々。同志社を卒業後,牧師として日本組合教会の成立に参加した海老名(えびな)弾正・小崎(こざき)弘道をはじめとして広く各界に活動した。

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世界大百科事典(旧版)内の熊本バンドの言及

【新島襄】より

…75年京都府顧問山本覚馬,ボード宣教師J.D.デービスの協力で官許同志社英学校を京都に設立。翌年熊本バンドの入学で,同志社教育と日本組合教会の基礎は確立した。同志社がキリスト教主義教育を唱える私学であったため,彼は政府,京都府庁のさまざまな圧迫をうけ,また伝道者養成のみを意図するボードとの対立に苦慮した。…

※「熊本バンド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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