熊谷市(読み)クマガヤシ

デジタル大辞泉 「熊谷市」の意味・読み・例文・類語

くまがや‐し【熊谷市】

熊谷

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日本歴史地名大系 「熊谷市」の解説

熊谷市
くまがやし

面積:八五・一五平方キロ

荒川中流部の左岸を中心に発達した県北の中心都市で、市域南端部が荒川右岸に突き出している。都心から六〇キロ圏に位置する。東は北足立郡吹上ふきあげ町・行田市・北埼玉郡南河原みなみかわら村、北は大里郡妻沼めぬま町、西は深谷市・大里郡川本かわもと町、南は同郡江南こうなん町・大里村・比企郡滑川なめがわ町・東松山市に接する。市域の大半は標高二〇―四〇メートルの荒川左岸の沖積扇状地(熊谷扇状地)の低地で、西縁と南縁は洪積扇状地の櫛挽くしびき台地と江南台地の末端にあたり、低地との境には数メートルの崖もある。南西端のじり観音かんのん(七七・四メートル)は新生代第三紀の残丘である。荒川は有史以前から熊谷付近で乱流を繰返して沖積扇状地を形成し、その扇端部にあたる市域の北縁部と東部は湧水地帯となり、古くから水利に恵まれてきた。市域の中東部をほし川が東流する。交通網は現在の熊谷市街を中心に、その北部を南東から北西へ国道一七号、南北に国道四〇七号、南西部の荒川左岸を国道一四〇号が走り、鉄道にはJR高崎線・上越新幹線、および秩父と羽生はにゆうへの秩父鉄道がある。市名は中世の熊谷郷によるが、その由来は熊谷直実の父直貞が大熊を退治したことによるという説(風土記稿)、クマガヤは神谷(クマケヤ)の意で高城たかぎ神社の鎮座によるという説、曲谷(クマカヤ)の意で荒川水流の屈曲と低地・湿地を意味する谷地によって起こったとする説(埼玉県地名誌)などがある。しかし蓮生(熊谷直実)にかかわる中世中頃の迎接曼荼羅由来(京都市清凉寺蔵)はクマガイと読んでおり、垣内(カイト)の意のクマガイトからの変化とも考えられる。古代以降、市域の中央部と南部は大里郡、西部と北部は幡羅はら郡、東部は埼玉郡に所属したとみられ、寛永六年(一六二九)の瀬替え以前の荒川が郡境となっていたと考えられる。旧河道跡には、西川原にしがわら上川原かみがわら・下川原・下河原しもがわら向河原むかいがわら天神河原てんじんがわら久保島くぼじま新島にいじま原島はらじま母袋島ぼでいじま古堀ふるぼり水押みずおしなど河川にかかわる地名が残る。

〔原始・古代〕

遺跡は荒川右岸の江南台地、荒川左岸の櫛挽台地と自然堤防上、利根川と荒川の沖積地に分布している。右岸の江南台地には、万吉下原まげちしもはら遺跡・楊井やぎい古墳群・前原まえはら遺跡・吉岡中学校よしおかちゆうがつこう遺跡が所在する。万吉下原遺跡では、縄文時代早期の撚糸文系土器や押型文土器の破片が確認されており、古墳時代前期の方形周溝墓三基と横穴式石室をもった円墳三基が発掘されている。このうちの一基からは円筒埴輪の破片が出土し、六世紀末から七世紀前半にかけて築造された古墳群と確認された。


熊谷市
くまがやし

2005年10月1日:熊谷市と大里郡大里町・妻沼町が合併
【大里町】[変更地名]埼玉県
【妻沼町】埼玉県:大里郡
【熊谷市】埼玉県


熊谷市
くまがやし

2007年2月13日:熊谷市が大里郡江南町を編入
【熊谷市】[変更地名]埼玉県
【江南町】埼玉県:大里郡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「熊谷市」の意味・わかりやすい解説

熊谷〔市〕
くまがや

埼玉県中北部,荒川の扇状地末端にある市。北部を利根川,南部を荒川が流れ,北で群馬県に接する。 1933年市制。 1941年大麻生村,佐谷田村,玉井村の3村と久下村の一部,1954年中条村,三ヶ尻村,別府村,奈良村の4村,1955年吉岡村,太井村,行田市のそれぞれ一部を編入。 2005年大里町,妻沼町と合体。 2007年江南町を編入。中心市街地の熊谷付近は湧泉が多いため開発の歴史は古く,いまも条里制の遺構が点在する。鎌倉時代は熊谷直実の所領であった。江戸時代は中山道宿場町,秩父札所へ通じる秩父往還の分岐点,荒川水運の河港として発展。明治以後は製糸業の中心地,さらに商業都市へと発展した。 1960年代以降,首都圏の工業衛星都市として三ヶ尻の飛行場跡や荒川沿岸にセメント,金属,製紙,精密機械などの工場が立地,工業都市の性格を加えた。農村部では米,ムギ,野菜の栽培が行なわれる。熊谷直実の居館の地には熊谷寺 (ゆうこくじ) ,西部には国指定史跡の宮塚古墳がある。妻沼の歓喜院聖天堂と貴惣門,本尊の錫杖,および江南の平山家住宅は国の重要文化財に指定。市域南部は武蔵丘陵森林公園に属する。南部を東西に上越新幹線,JR高崎線,秩父鉄道が通り,中央部を国道 17号線,125号線,140号線,407号線,熊谷バイパス,深谷バイパスなどが交差する交通の要所。面積 159.82km2。人口 19万4415(2020)。

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