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熱素説 ねっそせつcaloric theory

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

熱素説
ねっそせつ
caloric theory

カロリック説ともいう。熱を熱素またはカロリックと呼ばれる元素の1つと考え,物体の温度はその含有する熱素の量で決るという説。その起源はギリシア時代にさかのぼる。熱素は重さをもたず,どんな物質の中へもしみこむと考えられた。しかし 19世紀になって,熱が力学的仕事と同等であり,エネルギーの一形態であることが明らかとなって,熱素説は否定された。

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百科事典マイペディアの解説

熱素説【ねっそせつ】

熱を一種の物質(熱素,カロリック)とみる考え方。熱素は目に見えず重さがなく,あらゆる物体のすきまにしみわたり,温度の高いほうから低いほうへ流れ,摩擦や打撃により押し出されるとする。
→関連項目クラペイロン

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世界大百科事典 第2版の解説

ねっそせつ【熱素説 caloric theory】

カロリック説ともいう。熱の本性を特殊な物質的実体としてとらえようとする理論で,18世紀後半から19世紀にかけて,エネルギー理論が確立するまで,熱現象の解明に一つの役割を果たした。熱現象に関する科学的関心は,17世紀に温度計が開発されて,急速に高まった。18世紀にJ.ブラックが比熱と潜熱を発見して温度(熱さの度合)を熱そのものから区別したことがきっかけとなり,熱自体の量を計ろうとする試みが一般化した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

熱素説
ねっそせつ

熱現象を説明するために18世紀後半に提唱されたモデルが熱素(カロリック)で、それに基づく理論が熱素説である。熱はエネルギーの一形態とする現代の見方とは異なり、熱は物質の一種であるとみなした。18世紀後半、比熱や潜熱の実験によって初めて熱と温度を区別したブラックは「熱は微細で重さのない弾性流体で、物質粒子を取り囲み、互いに反発する」と考え、熱素の原型をつくった。一方、同じころその粒子をカロリックと命名し、化学の元素表にまで加えたのはラボアジエで、化学反応に伴う発熱や吸熱を説明した。彼はまたラプラスとともに、ブラックとは異なった方法で熱量測定の実験を行った。19世紀に入り、熱量測定はしだいに正確に多様に行われたが、熱素に基づく説明の原理は延命した。自ら熱量測定を行ったドルトンも強固な熱素説支持者であった。一方、熱は物質粒子の運動であるとする熱素説に対立する議論も、ランフォードやデービーによって早くから行われていたが、土台を崩すことはできなかった。1840年代にジュール、マイヤーらによりエネルギー保存則が提唱され、50年代にクラウジウス、ケルビン、ランキンによる熱力学の建設によって、熱素説による理論体系は基礎から崩壊した。[高山 進]

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