自由民権家。天保(てんぽう)14年12月26日、土佐国中島町(高知市中島町)に生まれる。父は土佐藩士片岡俊平、母は渋谷氏。家格は馬廻(うままわり)250石の上級武士。戊辰(ぼしん)戦争に際し迅衝隊(じんしょうたい)右半大隊(みぎはんだいたい)司令として会津城攻略に参加。戦功により中老職。朝命による海外視察のため1871年(明治4)5月6日出発、アメリカを経てロンドンに滞在。1年10か月後帰国し海軍中佐。征韓論に敗れて下野した板垣退助(たいすけ)と行動をともにし高知に帰る。74年海軍中佐の辞表を提出するとともに、立志社(りっししゃ)の創立を推進し、翌年4月の社長制設置とともに社長に就任。同年8月24日から翌年1月まで高知県七等出仕。77年6月9日に国会開設を求める立志社建白書を提出して却下になる。同年8月18日西郷隆盛(たかもり)の挙兵に関し逮捕され1年5か月入獄。出獄後、高知県会議員に当選し初代議長。80年4月国会期成同盟の総代として「国会ヲ開設スルノ允可(いんか)ヲ上願スル書」を提出したが拒絶される。85年5月15日キリスト教受洗。87年12月26日公布・施行された保安条例による東京からの退去を拒否したため軽禁錮2年6か月。第1回衆議院議員総選挙以降、連続8回当選。1902年(明治35)3月27日同志社社長。衆議院議長在任中の明治36年10月31日病死。正四位勲三等、旭日中綬章(きょくじつちゅうじゅしょう)。墓は高知市秦泉寺山(じんぜんじやま)。
[外崎光廣]
『川田瑞穂著『片岡健吉先生伝』(1939・立命館出版部/復刻版・1978・湖北社)』▽『外崎光廣編『片岡健吉日記』(1974・高知市民図書館)』
(福地惇)
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自由民権家,政治家。土佐藩士出身。戊辰戦争に参加。1871-72年(明治4-5)藩より選ばれて欧米各国を視察し,帰国後海軍中佐となったが,征韓論政変で74年辞職し帰郷。立志社の設立に参加して以後,自由民権運動の推進につとめ,立志社社長となって77年国会開設建白書を政府に提出。さらに80年には,国会期成同盟の代表として国会開設請願書を提出した。81年自由党の結成に参加。87年には三大事件建白運動に参画。第1回総選挙以来衆議院議員に連続当選し,副議長,議長をつとめた。1900年立憲政友会の結成に参加したが,のち脱党。温厚篤実な人柄が信望をあつめた。またキリスト教を信仰して,1885年受洗,同志社社長にも推された。
執筆者:大日方 純夫
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1843.12.26~1903.10.31
明治期の民権家・政党政治家。土佐国生れ。高知藩士として戊辰(ぼしん)戦争に従軍。1871~73年(明治4~6)欧米視察。帰国後立志社創設に参画。西南戦争時には林有造らの挙兵計画に連坐して入獄。81年自由党結党に参加。第1回総選挙から衆議院議員に8回連続当選。自由党から立憲政友会を通じて土佐派領袖の1人として活躍し,衆議院議長などを務める。クリスチャンであった。
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…1880年3月大阪で開かれた愛国社第4回大会には,愛国社加盟の各結社のほか多数の全国有志が参加して,組織を国会期成同盟と称することや請願書の提出を議決し,国会期成同盟規約を決定した。翌4月,片岡健吉,河野広中が全国2府22県約9万7000名の請願委託者を代表して〈国会を開設するの允可を上願する書〉を提出した。この請願書は,120件に及ぶ国会開設請願書・建白書の中でも,9項目の請願理由を列挙した詳細なもので,その根拠が,天賦の人権,五ヵ条の誓文の国是,兵役ならびに地租負担者の権利,内政および財政の混乱,国権回復など広範にわたっていたことを示している。…
…自由民権運動推進の中心となった代表的政社。1874年4月,高知に帰郷した板垣退助が片岡健吉,林有造らと結成した。天賦人権を宣言して〈人民は国の本〉であると主張,〈人民の知識を開達し,気風を養成し,福祉を上進し,自由を進する〉ことを目的に掲げた。…
※「片岡健吉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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