日本大百科全書(ニッポニカ) 「牧園」の意味・わかりやすい解説
牧園
まきぞの
鹿児島県中部、姶良郡(あいらぐん)にあった旧町名(牧園町(ちょう))。現在は霧島(きりしま)市の中北部を占める。旧牧園町は1940年(昭和15)町制施行。町名はかつて放牧地であったとの伝承にちなむ。2005年(平成17)同郡溝辺(みぞべ)、横川(よこがわ)、霧島、隼人(はやと)、福山(ふくやま)の5町及び国分(こくぶ)市と合併し霧島市となった。旧牧園町域は霧島火山群の南西斜面に位置し、霧島錦江湾(きんこうわん)国立公園の一部。JR肥薩(ひさつ)線、国道223号、霧島スカイラインが通じる。769年(神護景雲3)和気清麻呂(わけのきよまろ)配流の地と伝え、近世には島津氏の直轄地で踊郷(おどりごう)とよばれた。旧町域の78%が山林原野で、林業のほか茶や高原野菜の栽培、酪農が盛ん。1896年(明治29)設置の鹿児島県種馬所(しゅばしょ)は町営牧場として運営されていたが、1996年(平成8)閉鎖された。林田(はやしだ)、丸尾、硫黄谷(いおうだに)、湯之谷(ゆのたに)、安楽(あんらく)、妙見(みょうけん)、塩浸(しおひたし)など数多くの温泉がある。1980年から毎年7~8月に国際音楽祭が開かれ、1994年には霧島国際音楽ホールが開館した。国指定天然記念物ノカイドウ自生地。
[白石太良]
『『郷土誌・牧園町』(1969・牧園町)』▽『『牧園町郷土誌』(1981・牧園町)』