霧島温泉郷(読み)きりしまおんせんきょう

精選版 日本国語大辞典 「霧島温泉郷」の意味・読み・例文・類語

きりしま‐おんせんきょう‥ヲンセンキャウ【霧島温泉郷】

  1. 鹿児島県北東部霧島山中腹の温泉群の総称林田、九尾、硫黄谷、明礬(みょうばん)、栄之尾(えのお)などの温泉がある。泉質は硫化水素泉、硫黄泉単純泉

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日本歴史地名大系 「霧島温泉郷」の解説

霧島温泉郷
きりしまおんせんきよう

鹿児島県・宮崎県にまたがる霧島山の北西から南西部にわたる温泉の総称。九州では指宿いぶすき温泉、大分県別府べつぷ温泉と並ぶ温泉郷。牧園町を中心とした温泉群で、現在の霧島温泉郷は高千穂たかちほ地区に分布する温泉群の呼称となっており、宿窪田しゆくくぼた地区を中心とする天降あもり川の新川しんかわ渓谷には新川渓谷温泉郷が広がる。現在、霧島温泉郷には硫黄谷いおうだに栄之尾えのお明礬みようばん林田はやしだ丸尾まるお殿湯とのゆ湯之谷ゆのたに栗川くりかわ新湯しんゆなどの温泉があり、泉温は摂氏約四〇―八〇度、泉質は硫化水素泉・明礬緑礬泉・食塩泉・硫黄泉・土類炭酸泉・単純泉など多岐にわたる。新川渓谷温泉郷には塩浸しおひたし日之出ひので(日の出)山の湯やまのゆ(山ノ湯)安楽あんらく妙見みようけん折橋おりはしなどの温泉があり、泉温は五〇度前後、泉質は重炭酸泉・炭酸鉄泉・土類炭酸泉・炭酸水素塩泉など。霧島温泉郷は霧島屋久国立公園に含まれており、多数の観光・湯治客が訪れるためホテルや旅館が立並び、名湯の地として全国的に有名になっている。

伝承によると、霧島温泉は戦国時代に発見されたといわれ、元亀元年(一五七〇)頃に日向の伊東氏と戦闘を繰返していた島津義弘が、霧島山越の途次に三体堂さんたいどう地区にある鉾投ほこなげ温泉に立寄ったという。

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改訂新版 世界大百科事典 「霧島温泉郷」の意味・わかりやすい解説

霧島温泉郷 (きりしまおんせんきょう)

広義には鹿児島県北東部から宮崎県にまたがる霧島山周辺のすべての温泉を含む地域であるが,普通は霧島山南西斜面の標高600~800mにある諸温泉地帯をいう。大部分は鹿児島県霧島市の旧牧園町に属し,明礬(みようばん),硫黄谷,栄之尾,林田,丸尾,栗川などのほか,10以上の泉源がある。泉温は60℃以上,泉質は硫化水素泉,酸性ミョウバン泉,食塩泉などである。200年以上前に発見され,利用されていたが,当時は馬や駕籠で訪れる自炊客が主であった。1914年牧園~霧島温泉間,33年霧島神宮~丸尾間の道路開通で浴客がふえ,設備も整い始めた。また1929年には県内バス事業の開拓者林田熊一が栄之尾温泉付近に新温泉を開発,ホテルその他の施設を整備して以来林田温泉として発展し,霧島温泉郷の中心となった。霧島屋久国立公園に属し,自然に恵まれ,展望もよく,鹿児島県観光の一中心をなしている。鹿児島市からバスの便(約1時間半)があり,JR日豊本線霧島神宮駅,肥薩線霧島温泉駅からそれぞれバスで40分ほどである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「霧島温泉郷」の意味・わかりやすい解説

霧島温泉郷
きりしまおんせんきょう

鹿児島県北東部,霧島山を中心とした温泉群の総称。栗野岳温泉丸尾温泉林田温泉,硫黄谷温泉,湯之谷温泉などの観光温泉のほか,湯治向きの新湯温泉明礬温泉みょうばんおんせん),関平温泉(せきひらおんせん),栄之尾温泉(えいのおおんせん)などがある。泉質も単純泉,硫黄泉,明礬泉,重曹泉,重炭酸土類泉と多種で高温泉が多い。神経痛,リウマチ,胃腸病にきくといわれる。国民保養温泉地に指定。ミヤマキリシマ群落が見られ,霧島錦江湾国立公園に属する。南九州広域観光ルートの一大拠点となっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「霧島温泉郷」の意味・わかりやすい解説

霧島温泉郷
きりしまおんせんきょう

宮崎・鹿児島県境にそびえる霧島火山群南西面中腹に湧出(ゆうしゅつ)している温泉群の総称。霧島市に属し、標高600メートル付近に点在する。林田、丸尾、湯之谷、硫黄谷(いおうだに)の観光温泉のほか、湯治向きの新湯、明礬(みょうばん)、関平(せきびら)、栄之尾(えいのお)温泉などがある。この付近には多くの噴気孔が存在し、泉温は60℃以上、泉質は硫黄泉、含アルミニウム泉、塩化物泉と豊富である。霧島火山一帯は阿蘇(あそ)、雲仙(うんぜん)と並び九州屈指の山の観光地で、早くから国立公園に指定され、年間200万以上の客が訪れる。なお、東方の旧霧島町域の温泉群は霧島神宮温泉郷と称している。付近には不動池、白紫(びゃくし)池など火口湖のあるえびの高原や、韓国(からくに)岳、高千穂峰(たかちほのみね)などがある。JR日豊(にっぽう)本線霧島神宮駅、肥薩(ひさつ)線霧島温泉駅からバスの便がある。

[塚田公彦]

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百科事典マイペディア 「霧島温泉郷」の意味・わかりやすい解説

霧島温泉郷【きりしまおんせんきょう】

鹿児島県姶良(あいら)郡,霧島市にある国民保養温泉。硫黄泉,硫化水素泉など。36〜97℃。霧島山西麓の標高約760mの一帯に設備の整った硫黄谷,明礬(みょうばん),林田,丸尾,湯治向きの栗川湯,栄ノ尾(えのお),湯之野,殿湯などが散在,霧島錦江湾国立公園に属し,鹿児島湾の展望がよく,霧島観光の基地をなす。
→関連項目霧島[町]霧島山牧園[町]

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事典・日本の観光資源 「霧島温泉郷」の解説

霧島温泉郷

(鹿児島県霧島市)
かごしま よかとこ100選 四季の旅」指定の観光名所。

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