普及版 字通 「犯(漢字)」の読み・字形・画数・意味
犯
常用漢字 5画
[字訓] おかす・たがう・やぶる
[説文解字]
[字形] 会意
犬(獣)+(はん)。は人がうつぶせに伏している形。字形のままに解すれば、人が獣を犯す意となるが、はその姿勢のものを示すとみてよい。〔説文〕十上に「すなり」とし、声とする。わが国の〔大祓詞(おほはらへのことば)〕にいう「畜(けもの)犯せる罪」にあたるものかもしれない。〔玉〕に「抵觸(ていしよく)するなり」とあって、タブーにふれることをいう字であろう。すべて犯罪は、もと神の神聖を犯すこと、冒(ぼうとく)にあたる行為を意味した。〔周礼、夏官、大馭〕に、天子の出幸のとき「犯(はんばつ)してに驅(か)る」とあって、犬を轢(ひ)いて、車を修祓してから出発した。その字はまた(はん)に作る。上から轢く意であろう。犯はもと神威を侵す意であったので、敢て君長に強諫することを犯顔・犯諫という。
[訓義]
1. おかす、神聖をおかす、つみをおかす、いましめをおかす。
2. たがう、そこなう、そむく、しのぐ、こえる。
3. いつわる、やぶる、そこなう、ひきおこす。
4. つみ、つみあるひと、罪人。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕犯 ヲカス 〔立〕犯 ヲツ・ヲカス・フル・キツフル
[熟語]
犯囲▶・犯威▶・犯意▶・犯違▶・犯諫▶・犯干▶・犯顔▶・犯▶・犯忌▶・犯規▶・犯逆▶・犯教▶・犯境▶・犯禁▶・犯▶・犯刑▶・犯忤▶・犯罪▶・犯証▶・犯上▶・犯色▶・犯声▶・犯則▶・犯逐▶・犯土▶・犯▶・犯蹕▶・犯冒▶・犯法▶・犯命▶・犯夜▶・犯由▶・犯乱▶・犯▶・犯令▶・犯▶・犯歴▶
[下接語]
違犯・干犯・窮犯・共犯・狂犯・驚犯・軽犯・愆犯・誤犯・再犯・主犯・重犯・従犯・初犯・触犯・侵犯・正犯・戦犯・抵犯・難犯・不犯・防犯・犯・陵犯・累犯
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報