生類憐みの令(全文)(読み)しょうるいあわれみのれい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「生類憐みの令(全文)」の意味・わかりやすい解説

生類憐みの令(全文)
しょうるいあわれみのれい

  (一)覚
馬の筋のへ(延べ候儀、第一用方に不宜、其上不仁なる儀にて、御厩(うまや)に立候御馬共、先年より御停止(ちょうじ)被仰付候えとも、今以世上にてハ拵馬在之由候、向後堅御制禁被仰出者也、
 貞享二年丑九月十八日

  (二)覚 御台所張紙写
鳥類貝類海老、向後於御台所つかひ申間敷(もうすまじき)旨被仰渡候、乍然公家衆御馳走其外御振舞之節は可為各別事(かくべつたるべきこと)以上、
 貞享二年丑十一月七日

  (三)覚
惣て人宿又ハ牛馬宿其外にも生類煩(わずらい)重く候えハ、未死内(いまだしなざるうち)に捨候様粗(あらあら)相聞候、右之不届(ふとどき)之族有之は、急度(きっと)可被仰付候、密々左様成儀有之候ハヽ、訴人に出へし、同類たりといふとも、其科(とが)をゆるし、御褒美(ほうび)可被下者也、
 (貞享四年)卯正月日

  (四)口上之覚
今度書付出候上ハ、身体かろ(軽)きものハ、はこくみ(育み)かね(兼ね)可申候間、町人ハ町奉行、地方(じかた)ハ御代官、道中筋ハ*高木伊勢守、給所は地頭え訴可申者也、
 (貞享四年)卯正月日
     *高木守勝。大目付、道中奉行兼任

  (五)覚
 一 捨子有之候ハヽ、早速不及届(とどけるにおよばず)、其所之者いたハリ置、直ニ養候か、又ハ望之者有之候ハヽ、可遣(つかわすべく)候、急度不及付届候事、
 一 鳥類畜類人の疵付(きずつけ)候様成ハ、唯今迄之通可相届候、其外友くひ(共食い)又ハおのれと痛煩候計にてハ不及届候、随分致養育、主有之候ハヽ、返可申事、
 一 無主犬頃日は食物給させ不申候様に相聞候、畢竟食物給させ候えハ、其人之犬之様に罷成、以後迄六ヶ敷(むつかしき)事と存、いたハり不申と相聞、不届候、向後左様無之様可相心得(あいこころうべき)事、
 一 飼置候犬死候えハ、支配方え届候様相聞候、於無別条は、向後ヶ様之届無用事、
 一 犬計に不限、惣て生類人々慈悲の心を本といたし、あハれミ候儀肝要事、
    以上
 (貞享四年)卯四月日
  (『御当家令条』巻33)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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