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生駒山脈の南端部,奈良県と大阪府にまたがる高安山(487m)山頂を中心に築かれた山城。白村江の戦で敗れた後,西日本各地に築かれた城の一つで,667年(天智6)に讃岐の屋島城,対馬の金田(かなだ)城とともに築かれた。672年(天武1)の壬申の乱で戦火にあったが,701年(大宝1)に廃城となるまで修理が加えられていた。また,712年(和銅5)まで烽(とぶひ)も置かれていた。早くから生駒山脈の西側断層面を防御正面にした高安山の山頂から東に続く信貴(しぎ)山を含む一帯が城跡に比定されていたが,高安山は南北朝時代の山城に,信貴山は松永久秀の居城となるなど後世の改変が多いためか,具体的な古代の遺構が確認されないままであった。1978年八尾市在住の〈高安城を探る会〉の人々によって高安山から信貴山に続く尾根の北側斜面に6棟の倉庫跡の礎石群が発見された。倉庫はいずれも大宰府の大野城跡にあるのと同様,小さな尾根に階段状に配置され,4間×3間の総柱の建物である。その後遺跡の大半が奈良県側にあるので,奈良県が中心に調査を行っているが,83年高安山山頂近くに塼(せん)を用いた墓が検出されたほかは全貌はいまだにわかっていない。
執筆者:坪井 清足
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大阪府八尾(やお)市と奈良県生駒(いこま)郡平群(へぐり)町の境にある高安山(標高488メートル)に擬定されている古代の山城(やまじろ)。当城は、663年(天智天皇2)の百済(くだら)救援の役(白村江(はくそんこう)の戦い)での敗戦後、北九州から瀬戸内海沿岸に築かれた山城とともに大和(やまと)防衛の目的をもって、667年に築造された。『日本書紀』によれば、701年(大宝1)に廃止されるまでの間、4回の天皇行幸があり、畿内(きない)の田税や穀・塩が収納され、また壬申(じんしん)の乱(672)に際しては、吉野軍が高安城の近江(おうみ)軍を攻め、税倉が焼かれている。従来その遺構は不明であったが、1978年(昭和53)に高安山山頂付近から、6棟分に相当する礎石建物群が発見されたことによって、高安城の倉庫遺構ではないかとされているが、なお今後の調査に待つところが大きい。
[酒寄雅志]
『高安城を探る会編・刊『夢ふくらむ幻の高安城』第3集(1978)』
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奈良県平群町と大阪府八尾市の境の高安山に築かれた古代の朝鮮式山城。白村江(はくそんこう)の敗戦後,外敵に備えて667年(天智6)設置。穀物や塩が倉庫に蓄えられていた。壬申(じんしん)の乱に際して近江方によって焼かれたが,のちに天武・持統・元明天皇の行幸があった。701年(大宝元)廃城となるが,難波から飛鳥地方への通信施設として烽(ほう)は残された。平城遷都後の712年(和銅5)烽も廃止された。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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