産科医療補償制度(読み)サンカイリョウホショウセイド

デジタル大辞泉 「産科医療補償制度」の意味・読み・例文・類語

さんかいりょうほしょう‐せいど〔サンクワイレウホシヤウ‐〕【産科医療補償制度】

分娩に関連して脳性麻痺を発症した新生児・家族の経済的負担補償する制度原因を分析し、再発防止に役立つ情報を提供。紛争の防止・早期解決を図ることにより、産科医療の質の向上を図る。平成21年(2009)創設日本医療機能評価機構が運営。分娩を扱う医療機関が加入する。通常の妊娠・分娩にもかかわらず重度脳性麻痺となった場合に補償を受けることができる。染色体異常などの先天性要因や分娩後の感染症などにより発症した場合は対象外。

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共同通信ニュース用語解説 「産科医療補償制度」の解説

産科医療補償制度

分娩ぶんべんに関連して発症した重度脳性まひの子と家族の経済的負担を速やかに補償し、原因を分析して再発防止を目指すため2009年1月に創設。運営の財源となる掛け金は、健康保険組合などから支給される出産育児一時金に含まれ、妊婦の負担はない。補償対象は、21年生まれの子までは出生体重と週数の基準があったが、22年以降の子は「28週以上」のみになった。補償申請が認められれば3千万円が支給されるほか、日本医療機能評価機構の委員会が診療録などを基に原因分析の報告書を作成する。24年11月までに約4400人が補償対象となった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「産科医療補償制度」の意味・わかりやすい解説

産科医療補償制度
さんかいりょうほしょうせいど

脳性麻痺(まひ)児に対する医療補償制度。分娩(ぶんべん)に関連して重度脳性麻痺となった出生児とその家族の経済的負担を速やかに補償するとともに、原因を分析し、再発防止に役だつ情報を提供しようとする制度で、医療紛争の防止・早期解決および産科医療の質の向上を図ることを目的としている。公益財団法人日本医療機能評価機構が運営組織となり、2009年(平成21)に補償制度が開始された。この制度では、分娩機関の医学的管理下において出生した脳性麻痺児に対して、運営組織が補償対象として認定した場合に、過失有無を問わずに補償金(一時金と20年の分割金、あわせて3000万円)が支払われる。ただし、在胎33週以上かつ出生体重2000グラム以上または在胎28週以上で、酸素不足の状況下などで出生したこと、身体障害者手帳1・2級相当の脳性麻痺であることなどの条件がある。先天性や新生児期の要因であることが明らかな場合、および生後6か月未満で死亡した場合は補償対象とならない。また、自宅や緊急搬送中の分娩等については、関与する分娩機関や娩出時の状況等を考慮して個別に検討される。補償申請は、保護者が医療機関を通じて満5歳の誕生日までに行う必要がある。こうした制度が生まれた背景には、脳性麻痺児が生まれたことに対する医師への不信感から医療訴訟が後を絶たないことのほかに、産科医療分野の過酷な労働環境、近年の恒常的な産科医不足と産科医療機関の減少がある。

[編集部]

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妊娠・子育て用語辞典 「産科医療補償制度」の解説

さんかいりょうほしょうせいど【産科医療補償制度】

分娩に関連して発症した重度脳性麻痺の児に対する補償と、脳性麻痺の原因分析や再発防止などを目的に、平成21年(2009年)1月からスタートした制度。制度に加入している分娩機関で出産し、万一、赤ちゃんが分娩に関連して重度脳性麻痺となった場合に、看護・介護のための補償金が支払われます。補償の対象児については出生体重や在胎週数、障害の程度などによる基準があり、補償の申請期限はお子さんの満5歳の誕生日までです。

出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(母子愛育会総合母子保健センター所長)、子育て編:渡辺博(帝京大学医学部附属溝口病院小児科科長)妊娠・子育て用語辞典について 情報

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