蓮台寺(読み)れんだいじ

日本歴史地名大系 「蓮台寺」の解説

蓮台寺
れんだいじ

[現在地名]倉敷市児島由加

瑜伽ゆが(二七三・一メートル)山上にある。真言宗御室派、瑜伽山蓮台寺慈聖院と号し、本尊は十一面観音。「瑜伽山縁起」では天平五年(七三三)行基の開山、のち桓武天皇が坂上田村麻呂を派遣して再興させ、応永年間(一三九四―一四二八)増吽が中興したという。治承四年(一一八〇)の金山観音寺縁起写(金山寺文書)には、天平勝宝元年(七四九)金山かなやま(現岡山市)を開いた報恩大師が、その後瑜伽山に登り一寺を建立したとある。弘安元年(一二七八)の定に従った正安元年(一二九九)の四至掛札(黄薇古簡集)によると、境内寺領の四至は東は経尾谷、西は石塔之坂口、南は水穴谷北坂口、北は黒谷永久山半腹とある。

蓮台寺
れんだいじ

[現在地名]津島市弥生町

延享五年(一七四八)の村絵図では観音かんのん坊の南に隣接し外小沼そとおずまの地にある。昭和二八年(一九五三)まで通称町名は寺町てらまち筋であった。九品山と号し、浄土宗。本尊は阿弥陀如来立像。

「尾張名所図会」は「津嶋東の御堂といふ。時宗。江州番場ばんば蓮華寺末。弥阿上人の建立にして大檀那は堀田尾張守なり」と貞和年中(一三四五―五〇)の建立を伝えている。創建所伝を裏付けるものに、同三年胎内墨書造像銘をもつ弥阿上人坐像(県指定文化財)が安置されている。

織田氏と津島の堀田一族や時衆との関係も深く、八月日付の蓮台寺宛織田信長判物(織田信長文書の研究)

<資料は省略されています>

とあって、堀を周囲にめぐらした寺院であり、堀外の屋敷地・寺領が衆僧支配であったことが知られる。

蓮台寺
れんだいじ

[現在地名]下関市大字吉田地方

吉田よしだの南東部山中、はたにある。黄檗宗で、白華山と号し、本尊は十一面観音(市指定文化財)

伝承は、「注進案」によれば景行天皇が筑紫へ行幸のとき、この山の中腹から水が湧き出し石がほとばしり流れてその跡が池になり、白蓮を生じたという奇瑞をはじめとする。その時天皇より白華山の号を賜り、次帝成務天皇のとき蓮台と改号したという。

蓮台寺
れんだいじ

[現在地名]日高町知見

宮の谷みやのたににあり、九品山と号し、本尊大日如来、高野山真言宗。もと赤城あかんじやにあり、天禄三年(九七二)寛空の開基と伝えられる。江戸時代に入って宮の谷に移り、八幡神社を管するにいたったかとされる(日高町史)。文永―弘安(一二六四―八八)の頃、吉祥きつしよう寺とともに進美しんめい寺の別院といわれ、国衙の妨げの停止を命じる後嵯峨上皇・亀山上皇の院宣や官宣旨が出されている。しかし両寺は在庁資経法師六代相伝の所領で、文永年中但馬の国務(当時但馬は近江延暦寺の造営料国であった)に任じた聖憲が進美寺の領家職を兼ねたとき、故なく押領して進美寺に寄付し別院と号したといわれ、天台座主無品親王庁下文によって国領地として正税を弁済するよう命ぜられている(→吉祥寺

蓮台寺
れんだいじ

[現在地名]長野市若穂綿内 根守中組

村中央字大柳南太郎おおやなぎみなみだろにあり、じようみね山稜の東麓、大涸沢を隔てて山新田やましんでんの大崖錐に対する。崖錐上に二王門がある。参道約二五〇メートル。越智山九品院蓮台寺。真言宗智山派。本尊九品の阿弥陀如来。

縁起に「天平九年越智の泰澄創開(中略)、仁寿三年京都東寺二世大僧正真雅の弟子真光住職となり真言宗とす」という。九品の阿弥陀如来坐像を安置し「ぶつ」と称されたが、のちに焼失し一体が残った。

蓮台寺
れんだいじ

[現在地名]桜井市大字吉備

たちばな街道西に所在。宝林山と号し、浄土宗。寺伝によればもと法相宗で天平年間(七二九―七四九)行基の開基という。吉備真備が浄刹を当寺地に建立し、心楽しんらく寺と命名、大日如来・地蔵菩薩を安置。のち東大寺の明詮が再建、万願まんがん寺と称した。文禄二年(一五九三)宗栄が再興し、浄土宗となり蓮台寺と改称。現堂宇は正徳三年(一七一三)の再建。本尊阿弥陀如来は享保三年(一七一八)現奈良県當麻町の当麻たいま寺から移したという。

蓮台寺
れんだいじ

[現在地名]熊本市蓮台寺町

白川右岸にあり、九品山浄土院と号し、浄土宗西山禅林寺派、本尊阿弥陀如来、謡曲などで知られた檜垣の石塔があるため、俗に檜垣ひがき寺ともよばれたという(国誌)本堂に阿弥陀三尊を安置し、観音堂には右脚立膝の檜垣老女坐像(檜垣女像)のほか聖観音立像・地蔵菩薩立像を安置する。開基は不明、寛文六年(一六六六)顕空文海の再興、同一一年藩主細川綱利が五〇石を寄進したといい、境内に「檜垣女カ汲シト云ヘル廃井アリ」とある(国誌)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

デジタル大辞泉プラス 「蓮台寺」の解説

蓮台寺

岡山県倉敷市、瑜伽(ゆが)山の中腹にある寺院。真言宗御室派別格本山。山号は由加(ゆが)山。本尊は十一面観世音菩薩。厄除けの寺として知られる。「瑜伽大権現」ともいう。

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