男衾三郎絵巻(読み)おぶすまさぶろうえまき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

男衾三郎絵巻
おぶすまさぶろうえまき

武蔵の国に住む武士の兄弟 (吉見二郎男衾三郎) と彼らの娘の物語絵巻としたもの。 13世紀末~14世紀初めの制作。紙本着色,1巻 (別に残欠現存) 。文化庁蔵。物語は現在結末部を欠くが,おそらく観音申し子である美しい娘とその求婚者の恋愛を中心とする霊験譚と思われ,現存1巻のほかにもう1巻あったと推定される。癖の強い筆づかいで人物の表現などはあらいが,自然景の描写には独特の詩情があり,『新名所絵歌合』 (1291/5) と同筆とみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

男衾三郎絵巻
おぶすまさぶろうえまき

地方武士の物語を題材とした絵巻。1巻。武蔵(むさし)国に男衾三郎という武勇に富む弟と、吉見(よしみ)二郎という風雅な都ぶりの生活を好む兄の兄弟があった。吉見は宮仕えのため上京の途上、山賊に襲われ、非業の最期を遂げる。男衾は兄の死後その妻子を虐待(ぎゃくたい)し、武蔵の国司が兄の娘を見そめて迎えようとすると、男衾の妻はこれをねたみ、偽って醜い自分の娘を勧め、国司の恋も悲恋に終わる。通俗的な内容をもって御伽草子(おとぎぞうし)的な性格を感じさせるが、絵は鎌倉時代(13世紀)の大和絵(やまとえ)の画風をよく伝え、とくに花鳥草木の自然描写に富み、繊細で情趣深い画面を構成している。東京国立博物館蔵。[村重 寧]
『『日本絵巻大成12』(1978・中央公論社) ▽『新修日本絵巻物全集18』(1979・角川書店)』

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