(読み)モッコ

デジタル大辞泉 「畚」の意味・読み・例文・類語

もっ‐こ【×畚】

《「も(持)ちこ(籠)」の音変化》縄などで編んだ正方形の網の四隅につり綱を付け、棒でつって土砂農産物などを入れて運ぶ道具。もっこう。「をかつぐ」

ふご【×畚】

竹・わら・縄などで網状に編み、四すみにつりひもをつけ、物を入れて運ぶ用具。もっこ。
釣った魚を入れるかご。びく。

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精選版 日本国語大辞典 「畚」の意味・読み・例文・類語

ふご【畚】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 農夫などが物を入れて運ぶのに用いる、縄の紐のついたかごの一種。竹や藁で編んだもの。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
    1. 畚<b>①</b>〈大和耕作絵抄〉
      〈大和耕作絵抄〉
    2. [初出の実例]「早蕨の折にしなれば賤の女がふこ手にかくる野辺の夕暮」(出典:広本拾玉集(1346)一)
  3. 魚を入れるかご。びく。
    1. [初出の実例]「船なる魚籃(フゴ)を、もて来て」(出典読本近世説美少年録(1829‐32)一)

もっ‐こ【畚】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「もちこ(持籠)」の変化した語 )
  2. 藁筵(わらむしろ)や、藁縄を網に編んだものの四隅に綱をつけて、土・石などを盛り、棒で担って運ぶ具。もっこう。もこ。もうこ。
    1. [初出の実例]「もっこと云物也。此に人あって大山を作り立んに、今一もっこをかは此山可成就。一もっこに成て退屈してをかは我も置べし」(出典:応永本論語抄(1420)子罕第九)
  3. もっこふんどし(畚褌)」の略。

もっ‐こう【畚】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 「もっこ(畚)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「もっかうに指荷はせ肩肘いからし引添たり」(出典:浄瑠璃・夏祭浪花鑑(1745)二)
  3. もっこうふんどし(畚褌)」の略。
    1. [初出の実例]「六尺と思ふたれど、どうも引張たりぬから緋縮緬を二尺かうて木工(モッコウ)にしてしめてきた」(出典:合巻正本製(1815‐31)八)

いしみ【畚】

  1. 〘 名詞 〙 竹で編んだかご。いしみけ。たけかご。ふご
    1. [初出の実例]「君をこそあさはの原にをはぎつむ賤(しづ)のいしみのしみ深く思へ」(出典:散木奇歌集(1128頃)恋下)

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普及版 字通 「畚」の読み・字形・画数・意味


10画

[字音] ホン
[字訓] ふご・もっこ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は弁(はん)。〔説文〕十二下に字を(し)に従う形に作り、「なり。(へい)の屬、糧を(い)るる以(ゆゑん)なり」(段注本)とし、弁声とする。の部分は、もっこに物を入れた形。〔左伝、宣十一年〕「畚(はか)る」とあり、版築のために、土を運ぶことをいう。

[訓義]
1. ふご、もっこ。草の索(なわ)で作る。
2. もっこで運ぶ。
3. すき、くわ。

[古辞書の訓]
名義抄〕畚 小筐なり。イシミ 〔立〕畚 イシミ・カカリ

[熟語]
畚箕・畚・畚・畚・畚築・畚斗・畚土

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改訂新版 世界大百科事典 「畚」の意味・わかりやすい解説

畚 (もっこ)

担い運搬用具の一種。わらむしろあるいはわら縄,フジづるなどを網目状に編んだものの四隅に吊紐をつけ,てんびん棒を使って運ぶ。本体は網目状のものが多いが,袋状のものや皿状のものも見られる。その名称は,元来〈もちこ(持籠)〉から変化したといわれている。形状が不定なものを盛って運ぶのに適しており,土砂,堆肥などがおもな対象である。また,農作物を運ぶ際にも用いられた。
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