畢昇(読み)ヒッショウ

デジタル大辞泉 「畢昇」の意味・読み・例文・類語

ひっ‐しょう【畢昇】

中国北宋代(960~1126)の人。活版印刷術を発明したといわれる。生没年未詳。

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精選版 日本国語大辞典 「畢昇」の意味・読み・例文・類語

ひっ‐しょう【畢昇】

  1. 中国、北宋代(九六〇‐一一二六)の人。活版印刷術を発明したといわれる。生没年未詳。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「畢昇」の意味・わかりやすい解説

畢昇
ひっしょう

生没年不詳。中国、北宋(ほくそう)(960~1127)代の活字印刷法の発明者。その経歴も不明であるが、11世紀の科学者で政治家である沈括(ちんかつ/しんかつ)の著作『夢渓筆談』巻18「技芸」に畢昇についての記述がある。それによれば、畢昇は民間の人であり、慶暦年間(1041~1048)に活字を発明した。それは膠泥(こうでい)に文字を彫ってそれを火に入れて焼き固めたもので1文字1活字である。印刷は、まず鉄板の上に松脂(まつやに)・臘(ろう)と紙の灰を混ぜたものを一面に塗り、その上に鉄の枠を置いて、枠の中に活字を植字する。ついでこれに熱を加えて松脂などが溶けてきたら活字を板で押さえ平らに整える。冷却して活字が固定したら墨をつけ、上から紙を置いて印刷するものであった。

[宮島一彦]

『T・F・カーター著、L・C・グドリッチ改訂、藪内清・石橋正子訳注『中国の印刷術――その発明と西伝』1、2(平凡社・東洋文庫)』『沈括著、梅原郁訳注『夢渓筆談』1~3(平凡社・東洋文庫)』

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改訂新版 世界大百科事典 「畢昇」の意味・わかりやすい解説

畢昇 (ひっしょう)
Bì Shēng

中国,北宋の活字印刷の発明者。生没年不詳。世界に先んじて印刷術が行われた中国では,木版印刷整版)が主流を占めた。しかし活字印刷もまた早くから考案された。11世紀末に北宋の沈括(しんかつ)が書いた《夢渓筆談》に,活字印刷の創始者として工人畢昇のことがみえる。土を膠(にかわ)で固めて文字を彫りそれを焼いた〈膠泥活字〉を造り,これを蠟を塗った鉄版に配列し,下から熱を加えて蠟をとかし,冷却して活字が固定するのを待ち,墨を塗り上から紙を押しあてて印刷を行ったという。
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「畢昇」の解説

畢昇(ひっしょう)
Bi Sheng

生没年不詳

北宋慶暦年間(1041~48年)に活版印刷術を発明した人。この発明は西洋より早いが,当時木版印刷術盛行に比してあまり流行せず,13世紀頃高麗(こうらい)金属活字版の実用化が大成する。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「畢昇」の意味・わかりやすい解説

畢昇
ひっしょう
Bi-Sheng; Pi-Shêng

中国,北宋の慶暦年間 (1041~48) に活版印刷術を発明した人。膠泥 (こうでい) を用いた印材に字を刻み,1字1印とし,火で焼いて堅くしておく。一方,鉄板上に松やにろうに紙灰を混ぜたものを流し込み,これに膠泥活字を植えて一平板をつくり,この平板によって印刷したという。平板は上記の植字した鉄板を火であぶり,薬で少し溶かし,平らにしてつくったという。しかし,当時は木版印刷が非常に流行し,活版印刷はあまり行われなかった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「畢昇」の解説

畢 昇
ひっしょう

生没年不詳
北宋の活版印刷術発明者
膠泥 (こうでい) 製の印材に文字を刻み,焼いて活字を作り,鉄板上の鉄枠内に植字して固めたという。木版より不便で,あまり流行しなかった。

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世界大百科事典(旧版)内の畢昇の言及

【印刷】より

… 木版印刷が盛行した宋代にはじめて活字印刷の発明が加わった。沈括(しんかつ)の《夢渓筆談》によると,その発明者は畢昇(ひつしよう)と呼ぶ工人であった。当時の活字は泥土をにかわで固めて文字を彫り,そのあとで焼いた,いわゆる〈膠泥(こうでい)活字〉である。…

【本】より


[中国の活字本]
 中国は活字本の出版についてもおそらく最初である。まず11世紀の半ば,宋の慶暦年間(1041‐48)に畢昇(ひつしよう)が膠泥(こうでい)を加工して,いわゆる陶活字を発明し印刷を行ったことが沈括《夢渓筆談》などから知られる。さらに元代には王禎が《農書》を出版(1314)するために木活字約6万本を彫刻させ,試刷りとして《大徳旌徳県史》100部を1298年(大徳2)に印刷した。…

※「畢昇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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