生没年不詳。中国、北宋(ほくそう)(960~1127)代の活字印刷法の発明者。その経歴も不明であるが、11世紀の科学者で政治家である沈括(ちんかつ/しんかつ)の著作『夢渓筆談』巻18「技芸」に畢昇についての記述がある。それによれば、畢昇は民間の人であり、慶暦年間(1041~1048)に活字を発明した。それは膠泥(こうでい)に文字を彫ってそれを火に入れて焼き固めたもので1文字1活字である。印刷は、まず鉄板の上に松脂(まつやに)・臘(ろう)と紙の灰を混ぜたものを一面に塗り、その上に鉄の枠を置いて、枠の中に活字を植字する。ついでこれに熱を加えて松脂などが溶けてきたら活字を板で押さえ平らに整える。冷却して活字が固定したら墨をつけ、上から紙を置いて印刷するものであった。
[宮島一彦]
『T・F・カーター著、L・C・グドリッチ改訂、藪内清・石橋正子訳注『中国の印刷術――その発明と西伝』1、2(平凡社・東洋文庫)』▽『沈括著、梅原郁訳注『夢渓筆談』1~3(平凡社・東洋文庫)』
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生没年不詳
北宋慶暦年間(1041~48年)に活版印刷術を発明した人。この発明は西洋より早いが,当時木版印刷術の盛行に比してあまり流行せず,13世紀頃高麗(こうらい)で金属活字版の実用化が大成する。
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… 木版印刷が盛行した宋代にはじめて活字印刷の発明が加わった。沈括(しんかつ)の《夢渓筆談》によると,その発明者は畢昇(ひつしよう)と呼ぶ工人であった。当時の活字は泥土をにかわで固めて文字を彫り,そのあとで焼いた,いわゆる〈膠泥(こうでい)活字〉である。…
…
[中国の活字本]
中国は活字本の出版についてもおそらく最初である。まず11世紀の半ば,宋の慶暦年間(1041‐48)に畢昇(ひつしよう)が膠泥(こうでい)を加工して,いわゆる陶活字を発明し印刷を行ったことが沈括《夢渓筆談》などから知られる。さらに元代には王禎が《農書》を出版(1314)するために木活字約6万本を彫刻させ,試刷りとして《大徳旌徳県史》100部を1298年(大徳2)に印刷した。…
※「畢昇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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