異国日記(読み)いこくにっき

改訂新版 世界大百科事典 「異国日記」の意味・わかりやすい解説

異国日記 (いこくにっき)

近世初期に,外国あて書簡執筆朱印状発給に当たった禅僧が,その職務を記した記録原本は京都市南禅寺金地院にあり,1712年(正徳2)新井白石発見した。筆者は豊光寺承兌,円光寺元佶,金地院崇伝で,中でも崇伝の記録が主要な部分を占める。外国との往復書簡を記すだけでなく,執筆の事情をも記しており,外交史の重要な文献である。このうち西洋諸国関係の記事を抜粋し,注を加えたものは,《異国日記抄》として異国叢書に収められる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「異国日記」の意味・わかりやすい解説

異国日記
いこくにっき

近世初期の日本と諸外国との往復書簡やその発給に関する記事を収めた外交記録。写本2冊。寛永(かんえい)年間(1624~44)ごろ成立。第1冊は徳川家康に仕えて外交関係の事務を管掌した金地院崇伝(こんちいんすうでん)の自筆を主とする。1608年(慶長13)7月から1629年(寛永6)10月までの外国船渡来記事、外交文書、書簡などを編年に採録している。第2冊は崇伝の死後、門弟金地院元良(げんりょう)らによって編まれたと考えられる。元良、西笑承兌(さいしょうしょうだ/しょうたい)、文之玄昌(ぶんしげんしょう)らの外交書簡や林羅山(はやしらざん)らと外国使節の間に交された詩文などを収録。

[沼田 哲]

『村上直次郎訳註『異国往復書翰集・増訂異国日記抄』(『異国叢書11』復刻版・1966・雄松堂書店)』

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百科事典マイペディア 「異国日記」の意味・わかりやすい解説

異国日記【いこくにっき】

江戸初期の外交史料,2巻。京都南禅寺金地院所蔵。当時対外折衝の任にあった崇伝ほかの著。外国船来航の事情,往復文書等のほか,前後3回の朝鮮通信使来朝に関する記録を収めている。1712年新井白石が発見。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「異国日記」の意味・わかりやすい解説

異国日記
いこくにっき

2巻。金地院蔵。第1巻は慶長 13 (1608) 年から始り,寛永6 (29) 年にいたる外国船の渡来,外国人拝謁などの記事,外国からの書簡とそれに対する返書など,外交往復文書が収められ,金地院崇伝の書写になるもの。第2巻は豊光寺承兌ら起草の外交文書や林羅山以下の外国使節との贈答詩文その他から成っており,集録者不詳のものである。正徳2 (1712) 年新井白石が発見し,江戸幕府がこれを写している。当代の貴重な文書集である。『異国叢書』に抄録がある。

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旺文社日本史事典 三訂版 「異国日記」の解説

異国日記
いこくにっき

江戸初期の対外交渉史料
寛永年間(1624〜44)の成立。全2巻。第1巻は金地院 (こんちいん) 崇伝の著で,外交文書を扱った崇伝の控え書き。第2巻は崇伝の弟子元良らの著。

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