白痴・白癡(読み)はくち

精選版 日本国語大辞典 「白痴・白癡」の意味・読み・例文・類語

はく‐ち【白痴・白癡】

[1] 〘名〙
① 知能程度がきわめて低い者。しれ者。たわけ。
※菅家文草(900頃)四・春日独遊三首「唯有時々東北望、同僚指目白癡人」 〔春秋左伝注‐成公一八年〕
精神遅滞のうち最も重度(知能指数二〇以下)のものをかつて区分して呼んだ語。〔育児読本(1931)〕
[2]
[一] (原題Idiot) 長編小説。ドストエフスキー作。一八六八年成立。癲癇(てんかん)持病に持つ、無類に純粋で美しい人柄のムイシキン公爵が、自分をめぐる人々の間に痛ましい葛藤(かっとう)の起こるのを悲しみつつ自らも破滅の道をたどる姿を描く。
[二] 小説。坂口安吾作。昭和二一年(一九四六)発表。関係した白痴の女と、空襲下逃げ回り、感覚にのみ生きる彼女の姿にかえって感動する主人公を通し、作者の虚無感を表わした観念的作品。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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