(読み)もく

精選版 日本国語大辞典 「目」の意味・読み・例文・類語

もく【目】

[1] 〘名〙
条項小分け、また、何段階かに分類する階級の一つ。
(イ) 箇条、条目。
※令義解(718)公式「凡案成者。具条納目。〈謂。〈略〉目目録也。〈略〉此皆毎目別巻〈略〉〉目皆安軸」 〔論語‐顔淵〕
(ロ) 箇条書きなどで、「項」の下、「節」の上位に当たる区分。
※会計法(明治二二年)(1889)六条「第一各省の予定経費要求書、但し各項各目の明細を記入すべし」
(ハ) 生物分類上の階級の一つで、「綱」の下で「科」の上位に当たる区分。
小学読本(1874)〈榊原那珂稲垣〉三「凡植物大綱を、二十四に別つは〈略〉其一綱毎に各数目あり」
② 内容を示す標題、目録の類。
※延喜式(927)一一「凡諸国考選文及雑公文。〈略〉訖弁官惣計造目申太政官
③ 令制で、国司の第四等官。主典(さかん)のこと。
※二十巻本和名抄(934頃)五「佑官 〈略〉国曰目郡曰主張家曰書吏〈皆佐官〉」
④ (「目安(めやす)」「目当て」などの意で) もくろみ。たくらみ。
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉六「僕は〈略〉猶文学の何れの方面を指す可きであらふかと、其目を請ひ問ふた」
※浄瑠璃・本朝二十四孝(1766)二「鳥居前で、目(モク)で一杯やりかけう」
[2] 〘接尾〙 囲碁で、碁盤のめを数えるのに用いる。また、碁石の数にもいう。
※内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉八「あれは天性の利溌者でござる。〈略〉男も一二目(モク)はおかねばならぬ」

もく‐・する【目】

〘他サ変〙 もく・す 〘他サ変〙
① 見る。目をつける。見つめる。
※小学読本(1884)〈若林虎三郎〉三「公蘭丸を目して曰く汝何ぞ言はざると」
② 目で知らせる。目くばせする。
九暦逸文・承平七年(937)三月二八日「天皇目大臣、大臣進返給」
③ そうであると認める。見なす。評価する。
近世畸人伝(1790)題言畸人をもて目すといへども」

ま【目】

〘名〙 「め(目)」の古形。多く、他の語と熟して用いられる。「まつ毛」「まなこ」「まなじり」「まなかい」「まぶた」「まもる」「まばゆし」「まのあたり」など。

もく‐・す【目】

〘他サ変〙 ⇒もくする(目)

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デジタル大辞泉 「目」の意味・読み・例文・類語

もく【目】[漢字項目]

[音]モク(呉) ボク(漢) [訓]め ま さかん
学習漢字]1年
〈モク〉
め。「目前刮目かつもく耳目衆目属目しょくもく着目注目鳥目瞠目どうもく眉目瞑目めいもく面目
目で見る。めくばせする。「目撃目送目測目礼一目
めじるしとするもの。内容を表すもの。「目次目的目標目録曲目書目題目名目
分類上の区分。「科目項目綱目細目種目条目
大切な箇所。「眼目要目
主となる者。「頭目
碁盤上の交点。「一目井目せいもく
〈ボク〉め。「面目
〈め〉「目玉目安境目白目役目横目
[名のり]より
[難読]傍目おかめ傍目はため御披露目おひろめ粗目ざらめ真面目まじめ目差まなざ目映まばゆい目眩めくるめ目出度めでた目眩めまい目論見もくろみ

め【目/眼】

[名]
物を見る働きをする器官。光線・色などを感受して脳に送る感覚器官で、脊椎動物では眼球およびその付属器の涙腺などと視神経からなる。「澄んだ美しい―」「―をあける」
物を見るときの目つき。まなざし。「するどい―で見る」
物を見る能力。視力。「―が悪い」
見ること。見えること。「お―にかける」
注意して見ること。注目。「世間の―がこわい」
見分ける力。洞察力。「私の―に間違いはない」
見たときの印象。外観。「見た―がよくない」
その者が出会ったありさま。体験。「つらい―にあう」「いい―を見る」
位置・形状などが1に似たもの。
㋐主要な点。物の中心。「台風の―」
㋑眼球の形をしたもの。「うおの―」
㋒縦・横の線などが交わってできるすきま。「網の―」「碁盤の―」
10 線状に1列に並んだものの間にできたすきまや凹凸。「くしの―」
11 のこぎりの歯や、やすり・すりばちなどの表面に付けた筋。「―立て」
12 さいの面につけられた一から六までの点。また、振るなどして表れたその数。「賽の―」「いい―が出る」
1312から転じて》よい結果になる可能性。「優勝の―はもう消えた」
14 囲碁で、連結が完全な石で囲んである空点。「―が二つでいき
15 物差し・はかりなどに数量を示すために付けたしるし。「はかりの―」
16 はかり・升などではかった量。重さ。「―が足りない」
17 木材の切り口に現れる年輪の線。木目もくめ。「―の粗い板」「まさ―」
18 文様または紋所の名。方形またはひし形の中心に点を一つ打った形のもの。「五つ―」
[接尾]
数を表す語に付いて、その順序にあたる意を表す。「二番―」「一〇年―」
動詞の連用形に付いて、その状態にあること、また、その状態にあるところを表す。「弱り―」「落ち―」「結び―」「別れ―」「こげ―」
形容詞の語幹に付いて、そのような性質や傾向をもっている意を表す。「長―」「細―」
数を表す語に付いて、もんめの意を表す。「百―」「一貫―」
[類語](1アイ/(2目付き眼差し目遣い目元目くばせ目顔目色炯眼眼光

もく【目】

[名]
生物分類の段階の一。の下、の上に位置する。「昆虫綱トンボヤンマ科」
律令制で、国司主典さかんのこと。
[接尾]助数詞。囲碁で、碁盤のの数や碁石の数を数えるのに用いる。「三勝つ」「二置く」

ま【目】

め。多く、複合語として用いる。「のあたり」「つげ」「なじり」「なざし」「なかい」

ぼく【目】[漢字項目]

もく

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百科事典マイペディア 「目」の意味・わかりやすい解説

目【め】

眼とも。光の刺激を感受する感覚器。ヒトの目は左右1対で,頭蓋の眼窩(がんか)内にある眼球と,その付近の結膜涙器まぶた眼筋などの副眼器からなる。眼球は視覚をつかさどり,副眼器はこれを保護し補助する。狭義には眼球だけを目という。眼球壁は3層からなり,外層は強膜角膜,中層は脈絡膜虹彩(こうさい)と毛様体,内層は網膜が構成する。内部の大部分は硝子(しょうし)体で満たされ,水晶体を隔てた前眼房は眼房水で満たされている。虹彩は絞りの役をし瞳孔(どうこう)を縮散して眼球内に入る光量を調節し,瞳孔から入った光線は水晶体で屈折し網膜上に像を結び,視神経によって大脳に導かれて視覚を生じる。水晶体の湾曲の度合(厚さ)の調節は毛様体がつかさどる。なお,いわゆる目の色は虹彩の色で人種特徴の一つ。主としてメラニンの量で決定され,ごく少量なら青色,量がふえるに従い,灰色,緑色,褐色,黒褐色と変異する。毛髪の色と関連し毛髪が淡色ならば虹彩の色も淡い。→視野視力〔動物の目〕 機能上,単に明暗を感じるだけの明暗視,光の方向を知る方向視,物体の像を結ぶ形態視の3段階がある。視細胞の集合体であるクラゲの平眼や眼点は明暗視の段階。一定方向の光だけを他から遮断(しゃだん)して視細胞に到達させるプラナリアの目は方向視の段階。並列した視細胞がへこんだ杯眼やさらに深く陥没した窩眼(アワビ)は形態視の原始的段階で,これに光線集中のための水晶体が発達したのが脊椎動物と頭足類のレンズ眼である。節足動物の複眼は特殊なレンズ眼。爬虫類の一部には頭頂付近に顱頂眼(ろちょうがん)と呼ばれる光受容器がある。
→関連項目加齢黄斑変性症眼圧

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「目」の意味・わかりやすい解説


もく
order

生物分類学における分類群の一階級で,綱と科との間におかれるもの。植物の場合には,タイプになる属名のラテン語の語尾に-alesを付すことになっている。動物の分類では特に規定されていないが,菌類ではおおよそ植物の慣行に従っている。目の上下に下綱,上目,(目) ,亜目のように各種分類階級を設けることがある。


」のページをご覧ください。

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防府市歴史用語集 「目」の解説

 国司の位の中の一番低いものが「目」です。国の等級によっては、大・少2つの「目」が置かれました。

出典 ほうふWeb歴史館防府市歴史用語集について 情報

世界大百科事典内のの言及

【国司】より

…こうして令制的な国司制は斉明朝ころには全国的に成立し,その国司の下で編戸,里制の整備,戸籍の作成,班田の実施などが着々と進められたが,大税の管理権など,その権限はまだ制限されていた面もあったようで,国司制が完成の域に達したのは,大宝律令の制定(701)によってであった。
[制度]
 表のごとく,全国約60の国は大・上・中・下の4等級に分けられ,国司はその等級によって定員を異にしたが,その官制は守(かみ)(長官),介(すけ)(次官),掾(じよう)(判官),目(さかん)(主典)の四等官と史生(ししよう)(書記)から成っていて,これらは中央官人が6年(のちに4年)の任期で赴任し,その下に多数の現地出身の属吏がいた。職員令の規定によると一般の国の守は,祠社,戸口,簿帳,百姓の字養,農桑の勧課,所部の糺察,貢挙,孝義,田宅,良賤,訴訟,租調,倉廩,徭役,兵士,器仗,鼓吹,郵駅,伝馬,烽候,城牧,公私の馬牛,闌遺の雑物および寺,僧尼の名籍のことをつかさどり,とくに陸奥,出羽,越後等の国はそのほかに饗給,征討,斥候をつかさどり,壱岐,対馬,日向,薩摩,大隅等の国は鎮捍,防守および蕃客,帰化を惣知し,また三関国(伊勢,美濃,越前)は関剗および関契のことをつかさどることになっている。…

【学名】より

…学名は種名について与えられるだけでなく,すべての階級の生物名について定められるものである。植物では,目order以下の階級のすべての分類群については,一定の条件の下で先取権priorityが認められており,規約に合うように公表された最も古い学名を正名correct nameとすることになっている。一方,動物の場合には,科family以下の階級の分類群だけに命名規約が適用されるが,ふつうはより高次の分類群についても規約を準用している。…

【分類学】より

…命名については国際動物(植物)命名規約によって方法が規定されている。 分類群の階級としては,種speciesを基本的な単位として,それより上級に属genus,科family,目order,綱class,門division(動物ではphylum)などが設けられ,それらの間にもいくつかの階級を設けてもよいことになっている。種以下の分類群としては,動物の命名規約では,亜種subspeciesだけが認められているが,植物の場合には,亜種のほかに変種variety,亜変種,品種などの階級も認められている。…

※「目」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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