石敢当(読み)セキカントウ

デジタル大辞泉 「石敢当」の意味・読み・例文・類語

せき‐かんとう〔‐カンタウ〕【石敢当】

《「敢当」は、あえて当たる、向かうところ敵なし、の意》道の突き当たりや門・橋などに「石敢当」の3字を石に刻んで立てたもの。邪気を払うとされる。主に沖縄から九州にかけて分布。いしがんとう。

いし‐がんとう〔‐ガンタウ〕【石敢当】

せきかんとう(石敢当)

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精選版 日本国語大辞典 「石敢当」の意味・読み・例文・類語

せき‐かんとう‥カンタウ【石敢当】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「敢当」は、向かうところに敵がないの意。一説に、中国五代のころ、晉の力士の名とも。「せきがんとう」とも ) 丁字路の突き当たりや辻に立てる魔よけの石。多くは「石敢当」の文字が刻んである。沖縄から九州にかけて分布し、本州にも少しある。しっかんたん。いしがんとう。〔音訓新聞字引(1876)〕 〔急就篇
    1. 石敢当〈鹿児島県隼人町〉
      石敢当〈鹿児島県隼人町〉

いし‐がんとう‥ガンタウ【石敢当】

  1. 〘 名詞 〙 道の突きあたりや辻に立てる魔よけの石。多くは「石敢当」の文字が刻んである。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「石敢当」の意味・わかりやすい解説

石敢当
いしがんとう

魔除(よ)けのために「石敢当」と刻んだ石を立てる中国の俗信。日本でも、江戸時代から各地にあったが、沖縄県には、中国から直接伝わって、いまも社会慣習として生きている。中国には古代からあり、家の入口正面にあたる他家の壁に立てたり、家の土台石に刻んだりする。石敢当とは力士の名であると伝えるが、本来は、石がなによりも強いことから、魔除けに用いた語である。沖縄県では「蹴り込みの返し」といって、石敢当は道の突き当たりに立てるのが普通であるが、もともと「返し」といって魔除けに石を置く習慣もあった。これは『古事記』(712)の「道反(ちがえし)の大神」と同じく、道祖神信仰の一種で、それと中国の石敢当とが習合したものである。

 イシガントウは、「石敢当」の湯桶(ゆとう)読みであるが、中国語音のshih-kan-tangからの転訛(てんか)かともいう。

[小島瓔

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改訂新版 世界大百科事典 「石敢当」の意味・わかりやすい解説

石敢当 (いしがんとう)

中国起源の魔よけの石。〈せきかんとう〉とも読む。中国では,770年に福建省莆田県の知事が県内の安寧繁栄を願って建てたのが最古とされているが,起源年代は不明である。現在では,多く丁字路に造立されている。日本では,石敢当は青森県黒石市を北限とし,沖縄県まで分布するが,沖縄県が最も多い。多くは石敢当と刻した石を丁字路に造立するが,なかには石敢堂,石当散などの誤刻もある。徳島県下には,中国同様,石将軍と刻んだものがある。石敢当を中国古代の武人名とするのは,誤解である。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「石敢当」の解説

石敢当
いしがんとう

「せきがんとう」とも。道の辻や路地の入口,屋敷の表門にたて,「石敢当」の3文字を刻んだ小さな石碑。邪鬼の侵入を払うもの。沖縄地方に多くみられ,青森県まで分布する。俗に奄美地方では魔物払い石の意でマジムン・パレ・イシ,当りの意でアタリ,久米島では突当り石の意でチチャーイシという。石敢当の文字は「敢当」は無敵の意で,中国古代の石姓の武将をさすとする説と,石そのものがもつ威力の意とする説とがある。

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事典・日本の観光資源 「石敢当」の解説

石敢当

(滋賀県高島市)
湖国百選 街道編」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の石敢当の言及

【石敢当】より

…現在では,多く丁字路に造立されている。日本では,石敢当は青森県黒石市を北限とし,沖縄県まで分布するが,沖縄県が最も多い。多くは石敢当と刻した石を丁字路に造立するが,なかには石敢堂,石当散などの誤刻もある。…

※「石敢当」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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