磐城鉱(読み)いわきこう(その他表記)iwakiite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「磐城鉱」の意味・わかりやすい解説

磐城鉱
いわきこう
iwakiite

酸化鉱物の一つ。1979年(昭和54)松原聰(さとし)(1946― )らによって福島県いわき市御斎所(ございしょ)鉱山閉山)の変成層状マンガン鉱床から報告された、ヤコブス鉱近縁の新鉱物。ヤコブス鉱と比べてその主成分のFe3+(三価鉄)の一部がMn3+(三価マンガン)によって置換され、対称が等軸晶系から正方晶系に低下している。比較的高い酸化環境の産物。ヤコブス鉱とは共存鉱物を異にし、ばら輝石ブラウン鉱、満礬(まんばん)ざくろ石石英などと共存する。自形はなく、粒状結晶からなる塊状集合体として産する。命名産地の旧市名にちなむ。

加藤 昭 2015年12月14日]


磐城鉱(データノート)
いわきこうでーたのーと

磐城鉱
 英名    iwakiite
 化学式   Mn2+(Fe3+,Mn3+)2O4
 少量成分  Mg,Ti,Al
 結晶系   正方
 硬度    6~6.5
 比重    4.89
 色     帯緑黒
 光沢    金属
 条痕    黒
 劈開    無
       (「劈開」の項目を参照
 その他   強磁性

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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