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社会法 しゃかいほうsocial legislation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

社会法
しゃかいほう
social legislation

人間の実質的平等や社会的調和の達成を目的とする法。自由主義,個人主義,契約自由の原則などを基本理念とする市民法に対比される。資本主義社会の機構的矛盾の克服を目指し,人間の生存を確保することを価値原理として成立してきた法の体系であり,広義には労働法社会保障法経済法などをさすが,狭義には社会保障法をさす。

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百科事典マイペディアの解説

社会法【しゃかいほう】

市民社会の個人主義・自由主義の法原理を修正し,社会公共の利益の実現を目的とする法。財産権不可侵契約自由の原則などを基本原理とする市民法に対比される。資本主義社会の矛盾・欠陥の克服を目ざす労働法,社会福祉法など社会政策的立法をさす。

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世界大百科事典 第2版の解説

しゃかいほう【社会法 Sozialrecht[ドイツ]】

第1次世界大戦後のドイツを中心として一般化した概念であり,所有権の絶対,契約自由の原則,過失責任主義を基本原理とする近代市民法を修正する意味をもつ法を指す。その意義については種々の考え方があり定説はないが,代表的な学説としては,O.F.vonギールケ,G.ギュルビッチ,G.ラートブルフなどの名をあげることができる。このうち日本の社会法理論に大きな影響を与えたのは,ラートブルフである。彼は,近代市民法が人間を抽象的に自由・平等な権利主体としてとらえる人間観に立ちつつ個人の自由な営利競争を指導原理とする法であるとし,しかしこうした自由競争と資本主義の発展が現実には貧富の差の拡大や階級による不平等と対立をひき起こし,さまざまな社会問題を生ぜしめてきたと述べる。

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大辞林 第三版の解説

しゃかいほう【社会法】

社会的・公共的利益を指標とする法の総称。近代市民法を修正する意味をもつ。労働法・経済法・社会保障法など。 → 市民法

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

社会法
しゃかいほう

普通、所有権の絶対、契約自由の原則などを基本原理とする近代私法体系の意味での市民法brgerliches Rechtと対比して、これらの原理を修正する意味をもつ法ないし法理・法思想を社会法Sozialrechtというが、この点については議論が多岐に分かれる。社会法の生成は、20世紀初頭以来のいわゆる社会問題(失業、貧困など)とこれに対応する国家の側からの社会政策のクローズアップを背景とし、また労働法や経済法といった、私法(民法)体系とはその原理を異にする新しい実定法部門の成立と結び付いている。ジンツハイマーやラートブルフが論じたように、市民法と異なりそこには、形式的平等にかわって実質的衡量が、抽象的な市民にかわって具体的な社会人が登場する。市民法がすべての人間を抽象的に平等な市民としてとらえてきたのに対して、社会法は人間を一定の階級・階層や集団に属する具体的な人間としてとらえ、とくに国家が人間の尊厳に値する生活の保障を積極的に配慮すべき社会的弱者を重視するわけである。社会法はこの意味で資本主義社会の矛盾によって生み出されたものといえるが、市民法原理の修正はもとより、この資本主義の枠組みにとどまる。労働法や経済法が独立の法ないし法学部門として独立した今日では、社会法を狭く社会福祉に関する法に限定してみる立場もあるが、社会問題が失業、貧困のみならず、中小企業、農業民、住宅、公害等々の問題へと拡大していることからすれば、その意義はますます重みを増しているともいえる。[大江泰一郎]

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