会計参与(読み)カイケイサンヨ

デジタル大辞泉 「会計参与」の意味・読み・例文・類語

かいけい‐さんよ〔クワイケイ‐〕【会計参与】

取締役と共同で会社の計算書類を作成するために、会社が任意で設置する機関。税理士公認会計士などの会計専門家からなる。平成18年(2006)5月施行の会社法で新設された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「会計参与」の意味・わかりやすい解説

会計参与
かいけいさんよ

会計参与は、株主総会選任され、取締役(委員会設置会社では執行役)と共同して計算書類の作成等に携わる株式会社の機関であり、すべての株式会社において定款に定めて任意に設置できる(会社法326条)。なお、会計参与を置く株式会社を「会計参与設置会社」という(同法2条8号)。会計参与は、公認会計士(監査法人を含む)または税理士(税理士法人を含む)でなければならない(同法333条1項)。中小会社の非公開会社において、会計参与を設置する場合は監査役を置かなくてよい(同法327条2項但書)。会計参与と会計監査人との併存は可能である。

 2005年(平成17)成立の会社法において導入された会計参与制度は、中小企業における会計業務の実態を踏まえ、その会計業務の中核を担っている税理士および公認会計士の専門性を生かして、中小企業の計算書類等の適正を確保するものである。その適正性を対外的に明らかにすることにより、公的融資・補助金を含めた中小企業の資金調達の円滑化が図られるとともに、取引先の信頼確保や、株式公開準備等に資することになる。

 会計参与は、取締役または執行役と共同して、計算書類およびその附属明細書、臨時計算書類ならびに連結計算書類を作成するとともに、法務省令で定めるところにより、会計参与報告を作成しなければならない(会社法374条1項、会社法施行規則102条)。会計参与は、計算書類等の作成等に必要な調査権限が与えられている。他方、会計参与は、計算書類等の保存と開示の義務(会社法378条1項)、計算書類を承認する取締役会への出席義務(同法376条1項)、取締役の不正行為を発見したときの報告義務(同法375条)、株主総会における説明義務(同法314条)を負う。会計参与が取締役または執行役と意見を異にするときは、株主総会において意見を述べることができる(同法377条)。

 会計参与は、計算書類等の作成に関して会社に損害を与えた場合は、他の役員等と同様に、会社に対して損害賠償責任を負う(同法423条1項)。この責任は、株主代表訴訟の対象となる(同法874条1項、423条1項)。また、この責任は総株主の同意がなければ免除されないが(同法424条)、社外取締役と同様の規律もとに、軽過失の場合には、会社法に定められた手続により、責任の軽減・一部免除を図ることが可能である。

[福原紀彦]

『大江晋也著『実践 会計参与のすべて』(2006・税務経理協会)』『右山事務所編『会計参与制度と実務のポイント』(2006・新日本法規出版)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「会計参与」の意味・わかりやすい解説

会計参与
かいけいさんよ

取締役と共同して計算書類およびその附属明細書,臨時計算書類,連結計算書類を作成する会社の機関(会社法374条1項)。2005年会社法制定にともない,中小企業の計算の適正化をはかることを趣旨として導入された。株式会社は定款に定めることで会計参与を設置できる。公開会社ではない取締役会設置会社は,会計参与を置けば監査役の設置は不要である(327条2項)。会計参与は株主総会において選任・解任され,原則としてその任期は 2年(委員会設置会社では 1年)である。資格は公認会計士または監査法人税理士もしくは税理士法人にかぎられ,会社またはその子会社の取締役・使用人等を兼ねることができない(333条1,3項)。会計帳簿などの閲覧権のほか,取締役などの職務の執行に関し不正行為などを発見した場合の株主(監査役設置会社では監査役)への報告義務,取締役会への出席および意見陳述義務などを負う。

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百科事典マイペディア 「会計参与」の意味・わかりやすい解説

会計参与【かいけいさんよ】

取締役または執行役と共同して計算書類等を作成する機関で,企業会計の健全性を確保するために2005年の会社法により新設された。公認会計士,監査法人,税理士,または税理士法人でなければならない。
→関連項目社外監査役

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「会計参与」の解説

会計参与

新会社法で定められた、企業の会計を職責とする役員の名称。株式会社の会計の適正さの確保と、会計監査役としての公認会計士、税理士の立場を明確化するために設置された。2006年から発効している新会社法においては、株式会社は原則として、任意で会計参与を設置できる。また、会計参与は公認会計士もしくは監査法人、税理士もしくは税理士法人でなければならない。新「会社法」により、大会社を除く株式会社の機関の仕組みはこれまでの「取締役会+監査役」などの3パターンから、新法施行以降は30パターン以上に増えるなど、当事者自治の範囲が広くなった(定款自治)。

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会計用語キーワード辞典 「会計参与」の解説

会計参与

中小企業の計算書類の信頼性を上げるために取締役と共同して計算書類を作成する会社の機関を会計参与という。作成した書類は株主総会において、質問された場合に回答する義務がある。公認会計士・監査法人・税理士・税理士法人のみ会計参与になることができる。平成17年度の商法改正により新設された。

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