会計参与は、株主総会で選任され、取締役(委員会設置会社では執行役)と共同して計算書類の作成等に携わる株式会社の機関であり、すべての株式会社において定款に定めて任意に設置できる(会社法326条)。なお、会計参与を置く株式会社を「会計参与設置会社」という(同法2条8号)。会計参与は、公認会計士(監査法人を含む)または税理士(税理士法人を含む)でなければならない(同法333条1項)。中小会社の非公開会社において、会計参与を設置する場合は監査役を置かなくてよい(同法327条2項但書)。会計参与と会計監査人との併存は可能である。
2005年(平成17)成立の会社法において導入された会計参与制度は、中小企業における会計業務の実態を踏まえ、その会計業務の中核を担っている税理士および公認会計士の専門性を生かして、中小企業の計算書類等の適正を確保するものである。その適正性を対外的に明らかにすることにより、公的融資・補助金を含めた中小企業の資金調達の円滑化が図られるとともに、取引先の信頼確保や、株式公開準備等に資することになる。
会計参与は、取締役または執行役と共同して、計算書類およびその附属明細書、臨時計算書類ならびに連結計算書類を作成するとともに、法務省令で定めるところにより、会計参与報告を作成しなければならない(会社法374条1項、会社法施行規則102条)。会計参与は、計算書類等の作成等に必要な調査権限が与えられている。他方、会計参与は、計算書類等の保存と開示の義務(会社法378条1項)、計算書類を承認する取締役会への出席義務(同法376条1項)、取締役の不正行為を発見したときの報告義務(同法375条)、株主総会における説明義務(同法314条)を負う。会計参与が取締役または執行役と意見を異にするときは、株主総会において意見を述べることができる(同法377条)。
会計参与は、計算書類等の作成に関して会社に損害を与えた場合は、他の役員等と同様に、会社に対して損害賠償責任を負う(同法423条1項)。この責任は、株主代表訴訟の対象となる(同法874条1項、423条1項)。また、この責任は総株主の同意がなければ免除されないが(同法424条)、社外取締役と同様の規律のもとに、軽過失の場合には、会社法に定められた手続により、責任の軽減・一部免除を図ることが可能である。
[福原紀彦]
『大江晋也著『実践 会計参与のすべて』(2006・税務経理協会)』▽『右山事務所編『会計参与制度と実務のポイント』(2006・新日本法規出版)』
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