祖師忌(読み)ソシキ

改訂新版 世界大百科事典 「祖師忌」の意味・わかりやすい解説

祖師忌 (そしき)

一宗一派の開祖の忌日,またはその忌日に営む法要。浄土真宗のように宗派の開祖を開山という場合もあるが,寺院の創始者はとくに開山と称され,この場合は開山忌とよばれている。宗派の開祖であるから盛大に営まれ,その恩徳が謝せられる。宗派内のみならず,年中行事となって世に知られたものも多い。和国教主といわれる聖徳太子の忌日(2月22日。現行では法隆寺が3月22~24日,四天王寺は5月22日)の法要は聖霊会(しようりようえ)とよび,真言宗の開祖空海の忌日(3月21日)には御影供(みえく)が営まれる。浄土宗開祖法然の場合(1月25日。知恩院の現行期日は4月18~25日)は御忌(ぎよき)といわれ,真宗の親鸞の場合(11月28日。本願寺派,高田派では太陽暦になおして1月9~16日)は報恩講とよばれる法要がつとめられる。さらに臨済宗開祖栄西の栄西禅師忌(7月5日),曹洞宗開祖道元の道元忌(8月28日),日蓮宗開祖日蓮の御会式(おえしき)(10月12,13日),時宗の開祖一遍の一遍上人忌(8月22日),新義真言宗の宗祖覚鑁(かくばん)の覚鑁忌(12月12日),華厳宗の良弁(ろうべん)の良弁上人忌(11月15日)などがある。空也堂(京都市中京区)の踊念仏は空也の忌日(11月13日)を期して行われる。
祖師
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世界大百科事典(旧版)内の祖師忌の言及

【祖師】より

… 宗派ごとに祖師への信仰は強く,さまざまな宗教儀礼が生まれた。その中心となるのは祖師忌で,天台宗では元三大師(比叡山の中興の祖良源)の大師詣,真言宗では弘法大師(空海)の御影供(みえく),浄土宗では法然の御忌(ぎよき),浄土真宗では親鸞の報恩講,日蓮宗では日蓮の御会式(おえしき),禅宗では達磨忌や栄西の忌日などのように盛大な儀式が行われた。太子忌もその一つである。…

※「祖師忌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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