日本大百科全書(ニッポニカ) 「神保石」の意味・わかりやすい解説
神保石
じんぼせき
jimboite
ホウ酸塩鉱物の一つ。1963年(昭和38)、鉱物学者渡邊武男(1907―1986)らによって記載された鉱物。1938年に渡邊が記載した小藤石(ことうせき)のマンガン置換体。変成層状マンガン鉱床中、比較的高い変成度の変成作用を受けた高品位のマンガン鉱石中に存在する。栃木県鹿沼(かぬま)市加蘇(かそ)鉱山(閉山)、群馬県勢多(せた)郡東(あずま)村(現、みどり市東町)利東(りとう)鉱山(閉山)、福井県三方(みかた)郡三方町(現、三方上中(かみなか)郡若狭(わかさ)町)藤井鉱山(閉山)などの産出例が知られる。外国での産出の報告はない。自形は発達せず、粒状、あるいはその集合体を形成する。東京帝国大学鉱物学教室の開祖神保小虎にちなんで命名された。
[加藤 昭 2017年5月19日]