三国山(読み)ミクニヤマ

デジタル大辞泉 「三国山」の意味・読み・例文・類語

みくに‐やま【三国山】

群馬県北西部にある山。標高1636メートル。群馬県利根郡みなかみ町と新潟県南魚沼郡湯沢町の境、三国峠の北約1キロメートルに位置する。
群馬・埼玉・長野の県境にある山。標高1834メートル。神流かんな中津川の源流部にあたる。また、中津川・神流川・千曲川分水界。名は、上野こうずけ武蔵信濃の三国にまたがることから。

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日本歴史地名大系 「三国山」の解説

三国山
みくにやま

津幡町と富山県小矢部市の境に位置。標高三二三・七メートル。三国峠ともいわれた(「河北郡分旧記」亀田文書)。地名の由来は西が加賀国、北が能登国、東が越中国に面することによるという(三州旧蹟志)。「加越能大路水経」は三国峠について、上河合かみがわい村の南から東に登ったところにある加越能三州の境山で、一里塚のような小山としている。北国巡杖記(加賀志徴)は三間四方ほどの平地である山頂からの眺望を絶賛し、三尺の縄に牛をつなげば三国の草を食べるという里諺をあげる。山頂に小祠があり、三国山社または三国山権現とよばれている。文政社号帳(同書)は祭神に大山祇命をあげ、河北郡のはちたに村・いけはら村・興津きようづ村、能登国羽咋はくい郡下河合村・上河合村・瓜生うりゆう村・牛首うしくび村、越中国礪波となみ嘉例谷かれいだん(現小矢部市)の八ヵ村の入会守護神としている。

三国山
みくにやま

丹沢たんざわ山地の西端、籠坂かごさか峠から明神みようじん峠に連なる稜線上にある峰で、一三二三メートル。小山町中日向なかひなたと神奈川県足柄上あしがらかみ山北やまきた町・山梨県南都留みなみつる山中湖やまなかこ村との境界にあたる。「駿河記」中日向村の項には当山北方の三国峠について「細尾山の内なり。是甲相駿の国境なるが故に其名あり。其径路皆草刈道なり」とみえるが、峠は甲相の国境にあたり駿河と甲斐・相模の三国の国境にあたるのは当山である。山域には静岡県の自然一〇〇選に選ばれたブナの自然林があり、籠坂峠に続く稜線は三国山稜ハイキングコースとして人気がある。

三国山
みくにやま

現在の五万分の一図では三国山は羽須美村の南東端、北流する江川に東流する山根やまね川が合流する地点の西方にある標高四四九メートルの山をさす。しかし近世の上田うえだ村南東端は江川で備後国下作木しもさくぎ(現広島県作木村)、山根川で安芸国川根かわね(現同県高宮町)と境を接しており三国の国境となっていた。そしてこの一帯をそれぞれの村で三国山と称しており、国見の山として知られた。備後ではくま山、安芸ではおつぼ山、石見では猿掛さるかけ山ともいう。国境のため浜田藩代官の見回りがしばしばあり、天明四年(一七八四)の浜田藩家老による村々巡見の折には三国山川原で礫打の一興もあり、家老一行は江川を川舟で簗瀬やなぜ(現邑智町)へ下っている。

三国山
みくにやま

女亀めんがめ山の北西にそびえる標高七九六メートルの山。南が備後、北東が出雲、北西が石見の三国にまたがるので三国山の名がある。「国郡志下調書出帳」によれば、三国山には大蛇がすみ、夜々婦人や沙門に化けて人々をかどわかしていたが、山の西北麓程原ほどはら(現島根県飯石郡赤来町)に住む程原入道教海が退治したという伝説を記す。

三国山
みくにやま

赤来町上赤名かみあかなの南、広島県作木さくぎ村との境にあり、標高七九五・四メートル。出雲・石見・備後三国にまたがるための山名。現在飯石郡邑智おおち郡の郡境からは東に寄っているが、昭和二八年(一九五三)以前は現赤来町のたに地区は旧石見国の邑智郡に属していたので、正確には三国の境界にあたっていた。

三国山
みくにやま

上川町の南東端、十勝支庁河東かとう上士幌かみしほろ町・網走支庁常呂ところ留辺蘂るべしべ町との境界に位置し、標高一五四一・四メートル。山名は旧石狩・十勝・北見三国の境界に位置することによる。石狩山地の南東部に位置し、山体は先白亜系日高層群を基底とする第三紀中新世の緑色凝灰岩・プロピライト溶岩からなる。

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改訂新版 世界大百科事典 「三国山」の意味・わかりやすい解説

三国山 (みくにやま)

群馬・埼玉・長野県境にある秩父山地の山。標高1834m。山名は上野,武蔵,信濃の3国にまたがることによる。地質は中生代ジュラ紀の砂岩,ケツ岩などからなる大滝層群である。荒川の支流中津川,千曲川の支流二本木沢,利根川の支流神流(かんな)川の分水嶺をなし,群馬・埼玉側は森林,長野側は草地である。北側に三国峠,南側に十文字峠(2020m)があったが,1966年十文字峠との間の新三国峠に中津川林道(全長18.4km)が開通し,中津川と千曲川の流域を結んでいる。南方に甲武信ヶ岳こぶしがたけ)がそびえ,一帯は秩父多摩国立公園に含まれる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三国山」の意味・わかりやすい解説

三国山
みくにやま

群馬県北部のみなかみ町新潟県南東部の湯沢町の境にある山。標高 1636m。三国山脈の一部をなす。山体は閃緑岩からなり,山頂は東西に長く,起伏の少ない平坦地ツツジ高山植物が美しい。南西方に三国峠がある。上信越高原国立公園に属する。

三国山
みくにやま

長野・埼玉・群馬3県の県境,秩父山地の西部にある山。標高 1826m。千曲川上流部,荒川の支流中津川の源流部に位置する。山体は中世代ジュラ紀の岩石から成り,東麓は原生林におおわれている。秩父多摩甲斐国立公園に属する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三国山」の意味・わかりやすい解説

三国山
みくにやま

群馬と新潟の県境にある三国山脈の一峰。標高1636メートル。第三紀中新統の造山運動で形成され、おもに閃緑(せんりょく)岩からなっているが、山頂は泥岩で東西に長いやや平坦(へいたん)な面がある。これが南側から眺めると寄棟型の屋根に似て見える。国道17号の三国トンネル口(標高約1100メートル)から三国峠を経て急坂を登ると山頂に至る。ここから平標(たいらっぴょう)山、仙ノ倉(せんのくら)山、万太郎(まんたろう)山などを経て谷川岳への縦走路がある。植物相は雪と強風の影響でツツジ類の灌木(かんぼく)と高山性の草花が目につく。

[村木定雄]

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事典・日本の観光資源 「三国山」の解説

三国山

(群馬県利根郡みなかみ町・新潟県南魚沼郡湯沢町)
ぐんま百名山」指定の観光名所。

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